ジェニファー・ゼン(本名・曽錚)(YouTube動画のスクリーンショット)

 前回までは、中国共産党が意図的に情報を隠ぺいしたため、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)を制御する最も重要な時間が失われたこと、そして中共はウイルスが人から人へ感染することを認めた後、事態が急速に悪化したことを取り上げた。

 2020年1月27日:「問題はない」

 中共は1月27日、死者数が100人を超えたと公表した。また中国国務院が、旧正月の祝日を2月2日まで延長すると発表した。同日、李克強首相が武漢を視察し、現地の役人に「何か問題はないか」と尋ねると、彼らは一斉に「ない!」と叫んだ。

 ただ、実際には前回も話したように、武漢のほぼ全ての指定病院が患者で溢れかえっている状態だった。医療スタッフの中には、十分な医療物資を持っていないだけでなく、昼夜問わず働き詰めで、3日間一度も食事にありつけなかった人もいた。しかし、地元役員は迷うことなく李克強首相に対して「何の困難もない」と話した。

 またこの日、武漢市の周先旺市長がCCTV(中国中央テレビ)のインタビューで、地方政府は中央政府に承認された場合のみ、伝染病の関連情報を開示できると認めた。さらに、中央政府にこの伝染病を報告したものの、中央政府が1月20日まで情報を保留にしたことを明らかにした。

 そして、WHOが新型コロナウイルスに関する情報を更新し「WHOは、ウイルスの世界的拡散のリスクを低減するための措置を講じるべきである。しかし、現時点で入手可能な情報に基づき、国際的な交通を制限する必要はないと考える」と述べた。

 2020年1月28日:「自ら」がセンシティブワードに

 1月28日、香港は中国本土との輸送サービスを大幅に削減すると発表した。

 この日、習近平主席がWHOのテドロス事務局長と会談した。習氏は、伝染病対策の取り組みを「自ら」指揮し、「自ら」手配していると述べた。これに対し中国のネットユーザーらは、習近平が伝染病対策の努力を全く見ていない、あるいは知らないとして、彼の発言を嘲笑した。その結果中国の一部ソーシャルメディア上では、「自ら」という言葉がすぐに「センシティブワード」になった。

 同日、中共は「新型コロナウイルス感染性肺炎の予防と管理計画」の第3版を発行し、無症状の患者は確定症例としないと規定した。第1版から第6版はすべて、患者に症状があった場合のみ「確定症例」と見なすと規定している。

 米国のアレックス・アザー厚生長官はこの日、中国に専門家チームを派遣すると申し出たものの、拒否されたと話した。2月7日付の記事で、米国は1か月に亘ってずっと中国に支援を提案していると言及された。

 2020年1月29日:1日に200の遺体を燃やす

 1月29日、武漢市警察局の公式Weiboアカウントは、噂を広めたとして8人の医師が逮捕された件に関する更新情報を掲載した。その内容は「中国人民共和国・治安管理処罰法の関連規定に基づき、公安局は上記の8人を教育し、批判した。しかし、彼らの違反は軽微なものであったため、警告、罰金、拘留などの処分は行われなかった」というものだった。

 またこの日、医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、中国の疾病予防管理センター(CDC)の副局長・馮子健氏、湖北省支部の局長・楊波氏、および中国CDCのトップ・高福氏ら専門家グループが執筆した論文が掲載された。同論文によると、1月1日から1月11日までの間にすでに7人の医療従事者が感染しており、早くも12月末にはウイルスのヒト-ヒト感染に気付いていたと言う。

 同日、中国語新聞「大紀元」が独自の調査報告を発表し、武漢市の葬儀場と火葬炉の数、24時間体制の火葬炉の稼働状況を調査したところ、1日の死者数は200をゆうに超えており、中共が公表している数字の10倍はあると伝えた。

 この日、ある報道が中国全土で大々的に広まった。ある父子家庭の父親・鄢小文氏が隔離された後、身体障害を持つ17歳の息子が自宅で飢え死にしたと報じられた。この報道は、翌日中国の公式メディアによって事実であることが確認された。これは中国での大規模感染におけるもう1つの大きな問題である、ずさんな管理や不始末による二次的な人道的災難を反映している。また、多くの人の家の門が溶接され、強固な封鎖を施されている動画がネット上で出回っており、共産政権である中国には基本的な尊重、信頼、人権がないことを示している。

 2020年1月30日:無症状感染者

 WHOは1月30日にようやく中共ウイルスが世界的な緊急事態であると宣言したが、同時に「中国の抑制力を信用している」とも表明した。その上で、国境封鎖やビザの制限、疫病が流行している地域から渡航した健康な観光客への検疫はまだ必要ないとした。

 またこの日、台湾のトップウイルス学者・賴明詔氏が中国語新聞「大紀元」の取材に応じ「無症状のウイルス保有者も他の人に感染させる可能性がある」と語った。しかし、従来の体温スクリーニングではウイルス保有者を特定することができないため、疫病管理はより困難になったという。

 中国語新聞「大紀元」は、1月10日に旧正月の休暇を家族と過ごすため武漢から河北省の故郷に帰省した女性の事例を報じた。彼女が十数日間の滞在していた中で、自身は何の症状も出ていなかったものの、5人の家族に感染させていたと言う。

 また、ロシアが中共ウイルスの拡散を防ぐため、中国との極東国境を閉鎖すると発表した。

 米国疾病予防管理センターは、過去14日間に中国を訪れた人(米国国民、永住者、およびその家族を除外する)の米国への入国を制限すると発表した。

 2020年1月31日:米国が公衆衛生緊急事態を宣言

 1月31日、米国のアザー厚生長官が、新型コロナウイルスは米国における公衆衛生上の緊急事態であると宣言した。

 この日を境に、イランは全ての中国発着のフライトを取りやめた。ただ、民間航空会社のマーハーン航空は武漢を含む中国発着のテヘランとの往復便を更に1週間運行し続けた。このマーハーン航空はイスラム革命防衛隊と関係が深い航空会社だ。

 2020年2月1日:病院での恐ろしい動画

 2月1日、世界の中共ウイルス感染者数が10,000人を超え、SARSの感染者数8100人を超えた。オーストラリアは、中国からの渡航者、または中国に行ったことのある人は、国民、永住者を除いて入国を禁じると規定した。

 またこの日、武漢在住の方斌氏は、流行の真相を探るために、武漢同済医院、協和医院、第五病院など複数の病院を訪れ、病院内で密かにビデオを撮影した。第五病院で撮影されたあるビデオには、わずか5分間で8人の遺体が病院から運び出される映像が映っていた。彼はこれらの動画をソーシャルメディアに投稿し、そのうちいくつかは私が英語字幕を付けて共有したものを含め、すぐに国際的に広まった。

 夕方7時頃、警察が方斌氏の自宅に押し入り「核爆弾を爆発させた」ことを口実に警察署へ連行した。警察は彼に「なぜもっと良いものを撮影しなかったのか?」と質問し、「パニックを引き起こした」と彼を非難した。結局、彼は夜遅くに釈放され、自転車で3時間かけて帰宅した。彼は、自分が釈放されたのは、動画が世間の注目を集めたからだと言う。しかし、彼のデスクトップPCとノートPCは全て警察に押収された。

 数日後、方斌氏は毎日自宅にこもり、自分のアイデアを表現するためのビデオを制作した。やがて彼は「全国民自救運動」を呼びかけ、2月9日には「全国民の反抗、政治の国民回帰」と書かれた手書きの旗を掲げた。翌10日、方斌氏は逮捕された。

 また2月1日、最初に中共ウイルスを発見したとされる李文亮医師に陽性反応が出た。

 2020年2月2日:統計外の人々

 2月2日、湖北省は中共ウイルスの確定診断を受けた者や、感染の疑いのある者、それらの人と濃厚接触した者を隔離すると発表した。そして彼らを受け入れるための火神山臨時医院が完成した。

 中国メディア『財経』が「統計外の人:一般的な肺炎による死亡と記される」というタイトルの記事を掲載した。記事によると、記者が10世帯の家族にインタビューを行い、そのうち大多数が感染していたと言う。しかし、多くの場合、医師は患者がウイルスに感染していると確信していたものの、検査キットが十分ではないため、診断できなかったそうだ。しかし、この記事は後に削除された。

 また医療物資が極度に不足しており、各病院の病床数も足りず患者は自宅待機を要された。その過程で家族に感染させてしまう人も少なくなかった。自宅で療養中に亡くなってしまう人もおり、死因は「一般的な肺炎」とされるため、統計に反映されない。

 ネット上には深セン市のある女性が中共ウイルスに関する情報を投稿したことにより、警察から警告を受けた様子が映っている動画が拡散している。この動画はまさに中共の情報統制の厳しさを物語っている。

 またこの日、中国以外で初の中共ウイルスによる死者が報告された。フィリピン出身の44歳の男性が亡くなった。

 2020年2月3日:火神山医院

 2月3日、中国の株式市場が再開した。上海総合指数は7.4%下落し、4年半ぶりの大暴落となった。また、多くの中国メディアは疫病に関する報道を制限するよう要求された。

 中国中央テレビによると、新しく建設した火神山医院には1,400人の軍医が配置され、最初の患者もここに移送されると言う。

 また武漢市は、軽度の患者を受け入れるための「方艙医院(臨時医療施設)」の建設に着手すると発表した。

 2020年2月5日:百歩亭コミュニティでクラスター

 『財経』は2月5日、すでに新型肺炎が広範囲に流行していた1月18日に大規模の宴会を開催していた武漢の百歩亭コミュニティで、多数の人に発熱症状が現れたと報じた。

 またこの日、キャンベラの中国大使館は、オーストラリアが中国本土からの入国を禁止していることに対して批判の意を表明した。

 2020年2月6日:市民ジャーナリスト・陳秋実氏が行方不明

 2月6日、市民ジャーナリストの陳秋実氏が方艙医院へ行くと言って家を出たきり、行方不明になったそうだ。彼の母親はビデオを投稿し助けを求めた。彼が行方不明になる前最後に投稿した動画は、2月4日に方艙医院で撮影されたものだった。

 またこの日、方艙医院(臨時医療施設)の劣悪な状況を撮影した動画が流出し、ネット上では「3日間医者に診てもらえなかった」「受付の担当者もいなかった」などと患者が不満を漏らしている様子が公開された。

 同日、中国の主要なソーシャルメディアである「豆瓣」の日記機能が閉鎖された。ネットユーザーらは、多くの人が中共ウイルスに関することを書いたからだと主張している。また、Weiboで助けを求めている多くの投稿が削除された。3000件を超える投稿のうち、残ったのは約260件だけだった。家族の命が危険にさらされているとき、人々は皆必死にWeiboに助けを求めたという。習近平主席がウイルスに関するニュースの検閲を強化し、当局を批判する者のWeChatアカウントを閉鎖するように命じたのもこの日だ。

 2020年2月7日:李文亮氏が中共ウイルスで死亡

 2月7日、中共ウイルスの内部告発者である李文亮氏が34歳で亡くなった。彼の死は世間に大いなる懸念と怒りを引き起こした。 多くの人々がSNSで哀悼の意を示している。ハッシュタグ「#自由について語る」を付けた投稿が一時トレンドとなったが、同日他の関連トピックと共に削除された。

 2020年2月8日:中共ウイルスの死者数、SARSを超える

 2月8日、未報告の患者を除いて、36,000人以上が中共ウイルスに感染し、死者数は800人を超えた。これは、中共ウイルスによる死者数がSARSの死者数を超えたことを意味する。

 これらのことからも分かるように、死者が急増する状況でも、中共の最優先事項は真実の情報を隠すことだ。外の世界の人々が実際の数値と状況を知ることは非常に困難だった。命をかけて、真の情報を得たいと思っていた人々はすぐに姿を消された。

 世界のほとんどの国の人々が、依然として中共によって提供された数値を信じ、これらのデータに基づいて決定を下している。これがなぜ世界で数十万人もの死者が出たかについての理由だ。

(つづく)

(文・曽錚/翻訳・「世界をみよう」チーム)