ジェニファー・ゼン(本名・曽錚)(YouTube動画のスクリーンショット)

【曽錚さんの紹介

 ジェニファー・ゼン。本名・曽錚。かつて中国最高レベルの政策研究諮問機関である国務院開発研究センターに勤め、中国の内情を熟知する「内部関係者」として知られています。

 現在は海外に身を置き、「真実や正確な情報は命を救える」をモットーに情報発信をしています。中国で日々起きている重要事件について、厳密な情報分析と判断を交えて語るジェニファーさんの解説は多くのファンを魅了しています。

********************

 中国共産党が歴史を書き換えている中、我々はまず事実を整理しなければならない。それは今回の世界的なパンデミックの大災難に立ち向かうのに役立つだけではなく、近い将来に、中国共産党が人類にもたらした災難の責任を追及するときに必要になるだろう。責任の所在を明らかにするため、以下新型コロナウイルスを「中共ウイルス」と呼ぶ。

 まず、現在把握している情報を整理しよう。2019年11月17日、「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が新型コロナウイルスの第1感染事例を報道した。

 週刊医学雑誌「ランセット」の研究によると、第1感染者に症状が現れたのは2019年12月1日で、この患者はウイルスの発生源とされる華南海鮮市場を訪れたことがあるそうだ。さらに、この第1感染者が発症した5日後、彼の妻も肺炎を患い、隔離された。彼女は華南海鮮市場を訪れたことがないと言った。つまり、武漢の医師らは12月の2週目にはヒトーヒト感染が示す症例を把握していることになる。

 中国「財新メディア」の独自調査によると、2019年12月15日に華南海鮮市場の65歳の男性配達員が発熱し、3日後に武漢市中心医院の救急を受診した。これは同時期に原因不明の高熱患者が救急科へ治療を求めたという事例の一つであり、武漢市中心医院の救急科主任である艾芬(アイ・フェン)医師の説明と一致する。そして、12月21日、武漢の医師らが原因不明の肺炎の集団感染に気付き始めた。

 「財新メディア」の報道によると、武漢市中心医院の呼吸内科主任である趙蘇教授が遺伝子検査を行うため、ある患者のサンプルを第三者検査機関であるビジョンメディカルズに送った。

 2019年12月25日、武漢市第五医院の消化器内科主任である呂小紅氏が武漢市内の2つの病院の医療関係者が肺炎に感染した疑いがあり、隔離されていると述べた。これはヒトーヒト感染が拡大する有力な証拠の1つだと言える。

 湖北省新華医院の呼吸器内科主任である張継先医師によると、2019年12月26日だけで、原因不明の肺炎患者を4人立て続けに診察したと言った。

 2019年12月27日は重要な日だ。この日、張継先医師は武漢の病院と漢江市疾病予防管理センターに原因不明の肺炎患者が4人確認されたことを報告した。

 同日、ビジョンメディカルズの検査結果が判明し、電話で病院に新型コロナウイルスであると通知した。趙蘇氏はその段階で患者はすでに武漢同済病院へ移送されていたと話した。

 12月28日から29日に、新華病院に3人の患者が入院したが、いずれもウイルス性肺炎に似た症状を呈していた。新華医院副主任の夏文広氏が専門家会議を召集し、参加した専門家全員が患者の症状が異常であると認めた。夏氏は直ちに武漢市と湖北省の衛生健康委員会及び武漢市中心医院・公衆衛生部門に報告した。同日午後、武漢市と湖北省の衛生委員会が省・市・区の疾病予防管理センターに報告した。この検査結果は1月27日に「中華医学会雑誌」の英語版に「人に重症肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの特定」というタイトルで発表された。

 WeChatユーザー“Winjor”が1月28日に投稿した「新型コロナウイルスを最初に発見した経緯」という文章によると、12月27日に、広州市黄埔区の民間企業で働いていた彼の研究グループでほぼ完全なウイルスゲノム配列を組み立て、中国病原生物学研究所とデータを共有した。Winjor氏の投稿によると、“患者のサンプルにはコウモリが持つウイルスと類似した新型ウイルスが含まれていることが確認できた”、“その時の情報では患者が帰省しており、コウモリと接触した可能性がある問題の重大度を認識したため、実験室を消毒し、サンプルを廃棄し、実験に関わった関係者は監視下に置かれた”。そして、“ウイルスについては、すぐさま担当医師に報告し、患者を隔離した”と述べた。

 中国病原生物学研究所は、以上の内容から問題の深刻さを認識していたことが伺える。それ故、同日に会社の責任者は病院と電話で連絡を取り、翌日の12月28日には武漢疾病予防管理センターとも連絡した。そして、12月29日と30日には責任者が自ら武漢に出向き病院と武漢疾病予防管理センターに分析結果を報告した。

 Winjor氏の投稿で、この新型ウイルスがコウモリのSARS類似ウイルスと非常に酷似していることを示す結果が出た時、非常に緊張したと述べ 、12月27日には重大な公衆衛生問題に発展するかもしれないと予測した。新型ウイルスがSARSと同じくらい、恐ろしいものかもしれないので、緊張しているが、同時に早期にウイルスを発見し、患者を隔離することによって感染拡大する前に消滅させることが可能かもしれないと興奮している。

 しかし、今は失望し憤慨と苦痛を感じていると言及した。新型ウイルスのために懸命に取り組んできたにも拘らず、政府はヒトーヒト感染は確認されていないとしたため、感染が拡大し国民全体がウイルスの脅威に曝されてしまった。問題の発生は科学技術にあるのではなく、政府の判断やメディアの虚偽報道によるものだ。

 また12月27日に、41歳の男性・陳氏が武漢市中心医院で治療を受け、彼のサンプルが検査のため、北京博奥医学検験所へ送られた。

 12月30日に、武漢市中心医院で別の患者のサンプルを採取し、1月3日に検査のため、上海に送った。12月30日、北京博奥医学検験所から検査報告書が返却され、検査結果は“SARSコロナウイルス”と書かれてあった。しかし、後に専門家が「財新メディア」に、結果は間違いであったと伝えた。「彼らの遺伝子データベースは不完全であるか、十分な審査を行わなかった可能性がある。実は、これはSARSと違い新型コロナウイルスである」と語った。しかし、この間違いによって「SARS」という言葉が医師の注目を集めた。

 同日、武漢市中心医院の救急科主任である艾芬医師はWeChatでSARSに似た伝染病ウイルスの情報を共有した。後に彼は「デマを流した」として病院から処分を受けた。彼女は同僚の李文亮医師にも連絡した。李文亮医師は今回の新型コロナウイルスについて警鐘を鳴らした人物であり、また中国共産党員でもある。彼は 7人がSARSに似たウイルスに感染したことをソーシャルメディアに書き込み、患者の体にSARSに似たコロナウイルスと大量の細菌コロニーがあることを示す遺伝子分析結果を投稿した。

 また同日、武漢市衛生健康委員会が発行した武漢市の一部の医療機関で原因不明の肺炎患者が確認されたという緊急通知がネット上で広まった。この通知は全ての病院に関連情報を報告するよう命じるもので、いかなる機関や個人であっても情報を外部に漏らすことを禁じている。しかし、通知ではSARSやコロナウイルスについては一切触れていなかった。

 12月31日、武漢市衛生健康委員会は初めて27例の“ウイルス性肺炎”が確認されたことに言及した。しかし、これまでの調査ではヒトーヒト感染は確認されておらず、医療従事者も感染もないと発表した。これは武漢の医師が話した事実とは真逆であり、その時点で、すでに2名の医師にウイルスに感染の疑いがあった。同日、伝染病対策の“指導”のため、国家衛生健康委員会から専門家チームが武漢へ派遣された。

 注目すべきは世界中の多くの人々が武漢で致命的な伝染病が発生していることを知らなかった中、台湾が先に迅速な対応をとったことだ。台湾は12月31日に、ウイルスの拡散を阻止するため、入境者全員に検温を行い、渡航歴や感染患者との接触歴などを確認して国境検疫措置を開始した。台湾は中共ウイルスの被害が最も少ない国の1つでもある。それは台湾が中共やWHOに不信感を抱き、独自の情報や分析に頼って判断をしていたからだ。

 まとめると、2019年12月31日までに少なくとも9人の患者のサンプルが検査のため採取され、その結果もSARSと似た新型コロナウイルスを示す結果が出た。これらの検査結果は全て病院や疾病予防管理センターに報告されたが、何の予防策も講じられなかった。

 「財新メディア」は次のように述べている。「2019年12月末から今年1月初めまでの日々を振り返ると、それは無数の人々の運命を決定づける重要な時期だった。しかし、この時、人々はまだこのウイルスが人類にもたらす結末を知らなかった。」

(つづく)

(文・曽錚/翻訳・「世界をみよう」チーム)