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米国は認知症に悩まされています。まるで誰もが認知症患者の介護に心を痛めたり、困っているかのようです。しかし、個人的な話を超え、より広い視点からこの問題を考えると、さらにその見通しに驚かされるでしょう。なんと2050年までに、アルツハイマー病患者の数は米国だけで約1500万人に上るとみられているのです。これはニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの人口の合計に匹敵します。さらに、この多数の患者を介護する人員も必要になるのです。

普段私たちは認識しませんが、アルツハイマー病はすでに私たちの中でも進行しています。なぜなら、アルツハイマー病は一般的に老化や遺伝子、またはその両方によって引き起こされると言われているからです。

ある研究者は、かつてのがん治療にまつわる状況を皆に思い出させ、注意を促すことが重要であると指摘しています。しかし、最新の研究により、がんと加工食品の摂取については一定の関係が見出されました。大規模な研究[1]により、研究者たちは、加工食品の摂取量が10パーセント増加すると、がんの発症が12%増加させることを突き止めたのです。

この発見は、アルツハイマー病発症のリスクと栄養摂取を結びつける他の研究にも密接に関連しており、研究者たちは、生活習慣の変化が疾患の発症遅延や回避に重要な役割を果たしていると強調します。

個人のゲノム研究が安価に行えるようになった現在、アルツハイマー病は癌と同様、本質的には遺伝的な結果によって発症するとの認識があります。しかし現実には、DNA変異に起因するアルツハイマー病発症例は全体の1%未満にすぎないのです。つまり大多数のアルツハイマー病は、遺伝子の突然変異によって引き起こされたとは言い難いのです。

心臓病・糖尿病・癌と同様、アルツハイマー病もその発症リスクは生活習慣などの要因に密接に関係していると言われています。科学者たちの間では、アルツハイマー病発症例の3分の1以上が、生活習慣の改善によって予防できると広く認知されています。運動が心臓や血管の適応力を改善し、脳を知的に刺激された状態に保つためです。

それ以外に重要なのは、アメリカの超加工食品(ultra-processed diet)にいかに対処するかです。「超加工食品」は専門的な業界用語ですが、一般読者は「食品加工」と考えても間違いではありません。例を挙げると、木からまっすぐ伸びたリンゴは加工されていない食品ですが、そのリンゴを乾燥させ、さらに二酸化硫黄のような防腐剤で保存処理されると、それは保存料が添加された長期保存が可能な食品となり、「超加工食品」に分類されるようになります。

注:
[1] 2018年2月14日The BMJ(イギリス医師会雑誌)で発表された論文(http://www.bmj.com/content/360/bmj.k322)。

(翻訳・今野秀樹)