(写真合成:看中国/Vision Times Japan)

 トランプ大統領は現地時間8月6日、米国企業が中国製アプリやコミュニティプラットフォームの親会社と取引を行うことを禁じる行政命令を発令した。取引を禁じられた中国企業にはWechatとその親会社であるテンセント及びTikTokを所有するByteDance(バイトダンス)社などが含まれている。大統領令は45日後に発効する。

 一部の評論家は、これは米国が中国共産党の「ファイアウォール」の外側にもう一つの壁を作り、中国共産党を封じ込めることに等しいと述べた。この政策は「核兵器レベル」であり、その威力は経済的なデカップリング(切り離し)よりも強力だ。全世界が米国の行動に加われば、中国のインターネットは完全な「地域的なネットワーク」になる。

 なぜトランプ大統領は中国共産党に対してこのような強硬手段を取るのだろうか?

FBI(米連邦捜査局)は中国共産党スパイに関する極秘情報を把握している

 ラジオ・フリー・アジアが入手した情報によると、FBIは、ヒューストン中国総領事館がトランプ氏の再選を阻止するために米国内で混乱を作り出したことを明らかにした。FBIは中国総領事館はソーシャルメディア「TikTok」を使い、「Black Lives Matter(黒人の命も命だ), BLM」や「Antifa(アンティファ、反ファシズム極左集団)」の暴動を密かに支持・扇動していたというのだ。中国共産党の米国に対する「超限戦(限度を超えた戦争、Unrestricted warfare)」により、トランプ大統領は中国のスパイを追放するための迅速な行動を余儀なくされた。

 今年5月末、米国のアフリカ系の男性フロイト(George Flyod)が警察の执行中に死亡したため、全米各地で抗議行動が続いていた。ラジオ・フリー・アジアによると、中国共産党はこれを機に全米で騒乱を起こして、トランプ氏を大統領選で敗北させたいと考えているという。

 同報道は、中国軍の工作員は偽の身分を使ってヒューストン総領事館に行き、中国共産党の「ある映像プラットフォーム(TikTokを指している)」のバックエンド・データを使って、BLMとアンティファの活動を支援していたことを明らかにした。

 具体的な方法はこうだ。中国共産党工作員は、特別に制作された「暴動を呼びかけるプロパガンダビデオ」をアフリカ系の人々に送信する。ビッグデータを利用することで、中国共産党は暴動に参加する可能性が高い特定の人々に対してのみビデオを送信することができる。一方、他のユーザーはこれらのビデオを見たくても見ることができないし、検索することもできない。この方法は、隠蔽性が非常に高く、ピンポイントに扇動をすることができる。

 これは中国共産党がビッグデータを武器にしている典型的な例である。

 ラジオ・フリー・アジアによると、FBIは最初このことに気づかなかったが、亡命した領事館員がこの機密を暴露したという。つまり、一見無関係に見える「領事館の閉鎖」と「TikTokの禁止」だが、実は米政府がほぼ同時に行動せざるを得なかった理由があるのだ。

危険なWeChat

 WeChatはさらに危険な世論兵器だ。テンセントが発表した情報によると、WeChatの1日のアクティブユーザーは10億人に上る。これは中国のインターネット人口のほぼ全体に相当するという。

 2014年の中国の公式報道によると、中国共産党公安部はWeChatのバックエンドサーバーを正式に引き継いたと発表している。WeChatはもはやSNSではなく、中国共産党の統治機構の一部となっていることを意味する。

 中国共産党は国際的なソーシャルメディアをすべて遮断し、WeChatを中国人が唯一使えるSNSとするために、新機能を積極的に開発している。華僑はWeChatを通じてしか自国の親戚とコミュニケーションができず、事実上共産党の世論の輪の中に入ってしまっている。

 中国共産党政権は携帯電話の双方向通話料を高額に設定し、無料通信機能を持つWeChatを使うよう半ば強制した。WeChatがキャッシュレス決済に使われるようになると、人々はWeChatを手放せなくなり、やがて習慣化していった。WeChatの後ろには中国共産党の警察が座っており、彼らはWeChatを通じて、ユーザーの情報を収集し、中国のほぼ全人口を監視している。WeChatは実際には中国共産党が国民をコントロールするツールになっている。

 WeChatは国内だけでなく、国際社会でも言論統制を行っている。トロント大学のセキュリティ研究グループ「シチズンラボ」が発表した報告書によると、WeChatが中国本土以外のユーザーの行動を綿密に監視していることが明らかになった。このように、米国でのWeChatの禁止は、中国共産党が米国での情報収集や、海外華人をコントロールするための最も重要な手段の一つを断ち切ることとなるのだ。

(翻訳・藍彧)