河野太郎防衛相(イメージ:Wikimedia Commons/Pollyanna1919 CC BY-SA 4.0

 河野太郎防衛相は6月23日の記者会見で、先日鹿児島県奄美大島沖の日本海域付近で確認された潜水艦が中国のものであることを明らかにした。さらに、「中国共産党」の意向を検討する方針を示し、「中国共産党(中共)」という言葉を初めて使った。

 防衛省6月20日のお知らせによると、6月18日から20日にかけて、日本海上自衛隊は奄美大島付近の領海で外国潜水艦が航行していたことを確認した。中国海軍と見られる当該潜水艦は潜没したまま西へ向かい、日本領海のすぐ外側にある接続水域を航行したものの、領海には侵入していないとのこと。

 河野大臣は記者会見で、「 先ほどの潜水艦の件なのですが、今回、敢えて中国のものというふうに発表されたのはなぜなのでしょうか」という質問に対し、「 潜水艦の情報は、極めて秘匿度の高い情報であります。しかし、今回の場合、様々な情報を総合的に勘案し、潜水艦の国籍が推定できました。また、最近の尖閣諸島を始め、様々な情勢に鑑みて、今回、この潜水艦の国籍を公に公表する、すべきという判断をさせていただきました」と答えた。

 また、「 東シナ海のみならず、南シナ海、あるいは中印の国境、あるいは香港の一国二制度に対する圧力、様々なことが起きている中で、この中国共産党の意図というものを、我々明確に推し測っていく必要があると思っております 」と述べた。

 「中国共産党(中共)」と「中国」を分けて捉え、「中共」に着目したことは日本政府において初めての公表となる。

 時事評論家の盛傑氏によると、河野大臣が発言した内容の中心は「中共」の名を挙げ、より多くの情報を明らかにすることであるという。J‐CASTニュースによると、 自衛隊が行う情報収集活動の中でも、潜水艦をめぐるものは特に秘匿性が高いとされ、国籍まで明らかにするのはきわめて異例とのこと。

 同氏は米国が「中共」と「中国」を分けて捉えようとしているため、今回日本が「中共」に言及したことは米国と意思疎通をしたはずだと述べた。

注:記者会見の詳細は防衛省によるもの
参照リンク:  https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2020/0623a.html

(翻訳・藍彧)