中国で水害が相次いでいます。9月8日の午後5時ごろ、四川省(しせんしょう)の茂県(もけん)でまた土砂崩れが起きました。斜面(しゃめん)が突然崩れ落ち、土煙(つちけむり)がもうもうと立ちこめて視界がきかなくなり、道路は一時通行止めになりました。ネット上に出回った映像には、崩れた場所のすぐ手前にガソリンスタンドがあり、通りかかった車が路肩(ろかた)に停まって見入っている様子が写っています。茂県(もけん)の当局はその後、死傷者はなく、ガソリンスタンドでの燃料漏れも起きていない、道路はすでに通行を再開したと説明しました。
茂県での土砂崩れは、今月に入ってこれで3件目です。9月1日には、黒虎鎮(こっこちん)で斜面が崩れたとする映像が投稿され、大量の土砂と岩が一気に流れ落ちる様子が写っていました。画面の下のほうには民家も見えます。県の担当者によりますと、崩れたのは黒虎鎮を通る道路の5キロ地点で、一帯は山あいで谷が多く、県内には土砂災害の危険箇所(きけんかしょ)が今も540か所以上残っているということです。さらに9月5日の午前3時すぎには、国道347号の茂県の区間で山肌(やまはだ)が崩れ、道路が寸断(すんだん)されました。復旧の見通しは立っていません。
同じころ、江西省(こうせいしょう)の遂川県(すいせんけん)ではさらに大きな被害が出ています。9月4日、県内の各地で土砂崩れと土石流(どせきりゅう)が発生し、左安鎮(さあんちん)の一帯では多くの民家が土砂に埋まったり流されたりして、道路も寸断されました。地元の男性が、被災した村の様子をドローンで撮影して動画アプリに投稿したところ、まもなく役所から電話がかかってきて、動画を消すよう求められました。故郷(こきょう)を離れて暮らす同郷(どうきょう)の人たちに状況を知らせたい、というのが投稿の動機でした。
男性はこの電話を録音しています。相手はこう言いました。「こちら左安鎮の役所なんですが、あの動画、削除していただけませんかね。うちのほうは全部、公式発表を基準にすることになっているので」
男性は、うそを流したわけではない、故郷が被災した実際の様子を撮って多くの人に知ってもらおうとしただけだ、災害が起きてから地元のメディアは何ひとつ報じていないではないか、と反論しました。
「そんな電話をかけている暇があるなら、救助に行ったほうがいいでしょう。救助が終わってから言ってくださいよ。それなら非を認めます。刑務所に入ったって構わない」。男性はさらに畳みかけました。「私が真っ先にみんなに見せているんですよ。あなたたちにメディアがありますか。あるんですか。この土地にありますか。本当ならこういうことは応援してくれてもいいでしょう。何か言うことはありますか」。相手はこの問いかけに何も答えず、そのまま電話を切りました。
当局の発表では、9月6日の午後6時の時点で、遂川県の土砂崩れによる死者は3人、行方不明は9人、建物にも多数の被害が出ています。中国では災害の規模が小さく発表されることが繰り返し指摘されてきたこともあり、実際の死傷者は公表された数字を大きく上回るのではないかとの見方もあります。
(翻訳・吉原木子)
