チベット高僧イェシーラマはスペインの男の子に生まれ変わった。(イメージ:ビデオスクリーンショット)

 1960年代、イェシーラマというチベットの高僧は、西洋人に向けて布教を始め、チベット仏教を西洋へ広める風潮を引き起こしました。イェシーラマと弟子たちは、20以上の西洋諸国に、100近くの禅修センターや寺院・出版社を設立し、香港や台湾にも支部を設立しました。これらの団体からは、何百人もの西洋人の僧侶や尼僧が出家しました。1984年、イェシーラマは入寂されました。

 翌年、1985年のある雷が鳴り響く日、チベット仏教を信奉するスペインの一家に、一人の男の子が生まれました。不思議な事にその子が生まれる時、母親は全く分娩の痛みを感じず、男の子も泣きませんでした。

 ある日、母親は丸一日、その子に授乳するのを忘れたことがありましたが、意外にもその子は大声で泣くこともなく、辛抱強く待っていました。その後、少し成長した彼は、兄弟たちと一緒に遊ぶのを好まず、一人で静かに物思いにふけるように過ごすことを好みました。

 ある時、母親が彼を連れて禅修センターに行くと、意外にも彼は自らチベット僧侶の前に駆け寄り、その様子は僧侶たちととても親しいように見えました。そればかりではなく、僧侶たちの許しも得ず法器を手に取り、慣れた手付きで遊んだので、これはこれはと僧侶たちを驚かせました。

 イェシーラマの弟子だったゾパリンポチェは、次第にその男の子が気になってきました。ゾパリンポチェはイェシーラマの入寂後まもなく、何度も神通力者に頼み、師匠の転生後の行方を調べていました。神通力者たちの預言は全て、イェシーラマの転生後の父の名前は「バーコー」で、母の名前は「マリア」だと指し示しました。この二つの名前は明らかに西洋人の名前です。ゾパリンポチェ自身も、イェシーラマが明るい瞳を持つ西洋人の子供に生まれ変わる夢を見ました。

 ゾパリンポチェは、このスペイン人の男の子を見た時、この子が夢の中に現れた西洋人の子供ではないかと感じました。そこでゾパリンポチェは男の子の両親を呼び、名前を尋ねました。すると、本当に父の名前は「バーコー」で、母の名前は「マリア」でした。

 そこでゾパリンポチェは男の子の両親に、男の子が生まれる前に、何か特別なことがなかったか詳しく尋ねました。すると、母のマリアは、何年も前にイェシーラマに謁見した事があり、更に、イェシーラマが赤ちゃんを手に抱いて、マリア自身の懐に渡す夢を見た事があると言いました。

 マリアはイェシーラマを謁見した時に撮ったビデオテープを捜し出し観てみると、当時は誰も気に留めなかったが、イェシーラマが不思議なことを言っているのを発見しました。例えば、「スペインはいいところです。私はここに長く住んでみたいです」と言い、さらにバーコーに対して「私とあなたは特別な縁を持っています。私はあなたのことを忘れません。私は死んでも、あなたのことを忘れません」と話し掛けていました。

 ゾパリンポチェは、この男の子の立ち居振る舞いが生前のイェシーラマとそっくりで、男の子がイェシーラマの肖像を見て、自ら何度もひれ伏して礼拝している時、その目に涙を浮かべている事に気付きました。その後、ゾパリンポチェは、イェシーラマが生前使っていた法器や私物と他の人の物を混ぜて、男の子に見分けさせました。すると男の子は躊躇せず、すぐに前世の自分が使っていた物を見分けました。

 こうして、この非凡な男の子はイェシーラマの生まれ変わりと認められ、「オゼリンポチェ」と名付けられました。

 男の子は、チベット仏教寺院の高僧たちからは正式に承認されましたが、イェシーラマの弟子だった多くの西洋人たちは疑いを持っていました。彼らは「我々西洋人にとって輪廻転生を信じる事は、心の葛藤を要します。その上、『目の前のこのスペイン人の子供が、転生した我々の師匠だ!』と言われても、とても信じられません」と口を揃えました。その後、西洋人の弟子たちは機会を得て、再び男の子をテストしましたが、結局、この子が師匠の生まれ変わりだと認めざるを得ませんでした。

 とても興味深い出来事があります。イェシーラマの運転手をしていたひとりの西洋人は、何度もイェシーラマに「車のボロボロのナンバープレートを修理しなさい」と言われていましたが、とうとう修理しませんでした。

 ある時、若いオゼリンポチェがその運転手と古い車を見て、「まだ、ナンバープレートを修理してないの?」と冷ややかに言うと、運転手は極端に驚いて、言葉を失い、涙を流しました。

 オゼリンポチェは二度も香港に訪問し、地元メディアに大々的に報道されました。彼の不思議な転生記は『少年イェシーラマ(The Boy Lama)』と題して出版されました。

 これらの事から分かるように、チベット高僧は、衆生に利益をもたらすために祈り、世の中のあらゆる場所に転生できます。西洋人に生まれ変わる者もいれば、女性に生まれ変わる者もいて、また出家する者もいれば、出家しない者もいます。中には、昇格することを選ばず、平凡な人間に生まれ変わることを願って、黙々と衆生に利益をもたらし、前世で誓願したことを行う者もいます。勿論、どのような形で仏法を広めようとも、彼らは皆素晴らしい大徳の高僧です。

(翻訳編集・常夏)