睡眠とは、生物が心身と体力を回復するための休息行動です。人間の睡眠時間はおよそ7~9時間で、体調や年齢によって変化します。十分な睡眠が取れないと、気力や体力が低下しますので、睡眠と休息の生命体における重要性がわかります。しかし、世の中の全ての生き物が人間のように数時間眠る必要があるわけではなく、中には信じられないほど短時間しか眠らない生き物もいます。
小さな渡り鳥「スウェインソンツグミ」
スウェインソンツグミは、北アメリカの太平洋岸沿いの落葉樹林に生息している渡り鳥です。その体長はわずか16~20cmで、体重は最大でも45gを超えません。
科学者たちは、飼育のスウェインソンツグミの脳波の分析によって、この鳥はすぐに眠りにつく能力を持ち、5~10秒しか眠らないことを発見しました。しかも、この鳥が周囲を警戒している場合、片目だけを閉じ、脳の半分だけが眠りにつくことができます。
渡りの習性を持つ鳥は、渡りの最中に夜に眠ることはほとんどなく、日中に居眠りをして数秒の短い休息に入ります。行動神経科学者のヴェルナー・ビングマンさんは、鳥の脳半球は人間よりも独立して機能することができると述べました。同様の睡眠状態は、呼吸が必要な水生哺乳類でも起こるそうです。
スウェインソンツグミの鳴き声:
一日に何万回も寝る「ペンギン」
最も権威のある学術ジャーナルの一つ『ネイチャー(Nature)』に、南極ペンギンの睡眠に関する研究を紹介する記事が掲載されました。
研究対象は南極のキングジョージ島に住む14羽のペンギンです。研究チームはペンギンにチップを埋め込み、脳活動データを収集し、個体が深い睡眠に入ったかどうかを分析しました。10日間の観察を通じて、研究者たちは、ペンギンが1時間あたり600回以上の深い睡眠を蓄積しており、卵を孵化させる際にはより頻繁に睡眠を取っていることが分かりました。
フランスの神経科学研究センターの学者ポール・アントワーヌ・リブレルさんは、これらのペンギンは昼夜問わず、毎日断片的に睡眠をとることができると述べました。ペンギンたちは1日に10,000回以上の睡眠をとり、1回あたりの睡眠時間はわずか4秒であっても、それが積み重なると10時間以上になり、休息の効果を得るには十分です。
研究によると、ペンギンの睡眠時間は最長でもわずか34秒だそうです。人間はこの短時間では少し休むこともできそうにありません。これほど短い睡眠時間でエネルギーを回復し、生命活動を維持できることに、生物学者のマデリン・スクリバさんは驚きを隠せませんでした。
体重45gしかない小さな渡り鳥・スウェインソンツグミと、体重4.5kgのペンギン。体重は100倍の差もありますが、両者ともにわずか数秒間の睡眠だけで生命活動を維持することができます。「この数秒しかない休みで本当に事足りるかどうかは謎のままですが、鳥たちの一年以内の睡眠の変化を観察することで、不眠症や睡眠疾患で悩む人間に関する研究を進めることができるかもしれません」と、動物の睡眠を研究する精神医学者のルース・ベンカさんは述べました。
睡眠に対する固定概念が覆されるかもしれません。後続の学者による発見が楽しみですね。
(翻訳・宴楽)