(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国科学院武漢ウイルス研究所に所属する国家生物安全実験室は、2018年初めに稼働し、武漢P4実験室と略称されている。この研究所はSARSやエボラなどの危険な病原体を研究しており、武漢肺炎ウイルスの発生源である武漢華南海鮮卸売市場から約32キロメートルしか離れていない。

 武漢は中国における唯一のバイオセーフティーレベル4(P4、BSL-4)の実験室の所在地であり、武漢肺炎を引き起こすウイルスがこの研究所に関連するかどうかは不明だが、各国のメディアは肺炎ウイルスが実験室から漏れたものではないかという憶測を発表している。

フランス

 1月23日、フランスの週刊「チャレンジ」によると、中国とフランスは、シラク大統領の2004年中国訪問中に協力協定に署名した。この協定により、フランス政府は中国がP4実験室を構築するのを支援するが、中国がこの施設を攻撃活動に使用することはできない。

 フランス対外治安総局は、リヨンの建築設計会社であるRTVが元々武漢P4実験室のプロジェクトを担当していたが、2005年に中国が武漢の地元の設計会社IPPRを設計責任者に選んだと指摘した。フランス対外治安総局の調査によると、IPPR設計所は、中国軍の関連組織と密接に関連しているし、米国中央情報局による監視の対象となってきた。

 フランス政府関係者は記者の取材に対し、中国は10年以上の協力の過程中に両国間の協定に繰り返し違反していると述べた。例えば、中国は武漢に1つのP4実験室のみを建設することを約束したが、今日まで、中国は複数のP4実験室を建設したことが発見された。また、非常に疑わしい実験室もある。

 フランスの前首相であるジャンピエール・ラファリン(Jean-Pierre Raffarin)は、武漢P4実験室に関する仏中協定の促進者であり、2019年9月29日、習近平に「友好勲章」を授与された。フランスの週刊Valeurs actuellesは、2018年ラファリン前首相と中国の緊密な関係に対し、フランス国内治安総局(DGSI)が注目していると報じた。

イギリス

 1月23日付のイギリス紙「デイリー・メール」の記事によると、米国メリーランド州の生物安全コンサルタントであるティム・トレヴァン氏(Tim Trevan)は2017年に『ネイチャー』誌に対し、言論の自由が欠如し、情報が公開されない中国では、武漢P4実験室の安全性は憂慮される、と見解を示した。

 2017年の『ネイチャー』誌にて、武漢P4実験室の研究者が動物にウイルスを注入する計画を立てているという記事が掲載されたのを受け、ある専門家はこの実験が予想できない結果を招くと警告した。米国ニュージャージー州のラトガース大学の分子生物学者であるリチャード・エブライト氏(Richard Ebright)は、SARSウイルスが何度も北京の高レベルの研究施設から漏洩した事実を忘れないようにと警告した。

米国

 1月24日付の米国紙「ワシントン・タイムズ」の記事によると、最近「ラジオ・フリー・アジア」は、武漢地元のテレビ局が2015年製作した番組を再放送した。この番組が武漢に中国最先端のウイルス研究所があると報じた。この研究所は中国で致命的なウイルスを対処できる唯一の場所だという。

 中国の生物戦を研究した元イスラエル軍諜報員のダニー・ショーハム(Dany Shoham)氏は武漢ウイルス研究所が北京当局の秘密生物兵器計画に関与していたと述べた。ショーハム氏は「この研究所の一部の研究室は、中国の生物兵器の研究開発に参加している可能性がある」と言った。

カナダ

 2019年8月2日、カナダ放送協会(CBC)は、2019年3月31日にカナダ国立微生物研究所の科学者が航空会社エア・カナダ経由で北京にエボラウイルスとヘニパウイルスを送ったと報じた。この二つのウイルスは、人に致命的な疾患をもたらすレベル4の病原体で、厳重な取り扱いが要求されるものである。しかし、記者はウイルスを誰が送ったのかを知らなかった。2019年7月5日、中国出身の女性科学者で、エボラウイルスを研究する研究室の専門家である邱香果氏と夫の成克定氏(同僚)が、複数の中国人留学生と共にカナダの情報機関によって研究室から連れ去られた。邱香果氏が中国へウイルスを送った可能性が高いが、武漢のP4実験室との関連性が不明だ。

香港

 香港政府は武漢肺炎に対し対策を講じていない理由について「マスクを掛けた場合に人と話しにくい」、「封鎖ができない」、「死亡率がもっと高くなった場合に対策を考える」からだとしている。これに対し、香港立法会議員・朱凱迪氏はフェイスブックで香港政府の考え方を理解できないとコメントした。

 香港の「民間記者会」は1月27日の午後に記者会見を行い、香港政府が1月26日まで武漢肺炎に対し予防措置を講じておらず、「香港にウイルスを導入している」に等しいと指摘した。

 香港政府が1月27日中国の湖北省からの観光者に入港制限を課したが、1月27日の朝、香港食品衛生局トップである陳肇始氏はラジオ番組の取材に対し、香港政府の措置に二つの抜け穴があることも認めた。観光者が自分で情報を提供することだけに頼っている点、武漢から香港に戻ってくる香港市民は入港制限がない点だ。

※バイオセーフティーレベル(英: biosafety level, BSL)とは、細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付け。例えば「レベル4」の実験室はBSL-4 と呼ばれ、P4 ともいわれていたが、現在ではバイオセーフティーレベルもしくは BSL の名称を用いるようになった。(出典:ウィキペディア)

(翻訳編集・黎宜明)