中国の不動産市場はすでに買い手市場になっており、深センの羅湖区では頭金を支払わずに、さらに50万元(約986万円)の内装工事金を貰える現象が現れた。一部の専門家は、かつて中国経済の成長の牽引役であった不動産業界は現在、不動産危機に変貌していると分析した。

 中国複数のメディアの報道によると、中国では最近、住宅購入時に頭金を払わないだけでなく、お金も受け取ることができるという。深センの羅湖区では、520万元(約1.02億円)の住宅を購入する際、銀行から570万元(約1.12億円)を借りられる。すなわち、頭金を払う必要がないだけでなく、50万元を内装工事金として受け取ることができる。

 また、重慶市巴南区では、内装工事済の住宅で、頭金は4万元(約79万円)だが、支払った後すぐに5万元(99万円)のキャッシュバックを受けることができる。

 このような現象は、中国不動産の分譲価格と取引量が引き続き下落したことによるものだ。中国不動産業界関係者である趙紅軍氏は24日、北京全域の取引量が継続的に減少しており、2月には10003件だった取引件数が、4月には5847件にまで減少した。オンラインでの顧客からの問い合わせ件数も明らかに減少しており、最大13万5000件だった依頼件数が、5月15日時点で4万6000件に減少したと述べた。

 趙紅軍氏は不動産市場の価格が軒並み下落した原因は、人々の所得の減少による総合的な消費力の低下にあると述べた。

 米ロックフェラー・インターナショナルの会長であるルチル・シャルマ氏は24日、フィナンシャル・タイムズに寄稿した記事で、中国当局は経済成長を推進するために必死にお金を借りて投資し、特に不動産業界での投資が注目されていた。しかし、現在、かつて中国経済の成長の牽引役であった不動産業界は、すでに不動産危機に変貌しており、対応しきれない債務の重圧は、経済の隅々にまで広がっていると述べた。

(翻訳・吉原木子)