ここ数年、中国各地の建設業界で「退職令」が出され、60歳を超える農民工(農村部からの出稼ぎ労働者)はすべて「雇用禁止」となっている。統計によると、今後8000万人近くの農民工は、仕事や居場所がなくなり、退職や老後の困難に直面することになるという。

 近年、上海、天津、江西省、四川省、広東省などは「退職令」を発表した。そのうち、上海が最初に実施され、2019年には60歳以上の男性と50歳以上の女性が建設現場での建築作業が禁止された。

 中国国家統計局が昨年4月に発表した「2021年農民工監視調査報告」によると、2021年の農民工数は2億9300万人に達しており、平均年齢は41.7歳で、50歳以上が27.3%、8000万人近くを占めている。この膨大な数の人々にとって、今後の雇用、退職、老後の生活など、多くの困難が待ち受けている

 テンセント・ニュースは3月28日、「『退職令』の背後:8000万人の超年齢農民工、働くことができず、頼るところがない」と題した記事を発表し、農民工家庭出身の労働社会学専門家である王欧(おう・おう)氏の話を紹介した。

 王氏は、「50歳や60歳の農村の人は子供がまだ結婚していない。子供のためにお金を貯める必要がある。さらに、農村では男性人口が女性人口より多いため、結納金が右肩上がり、これらは全部親世代の負担になっている。他には、家族の病気などのストレスも抱えている」とし、「これらの農民工は『退職したくない』というより、子供への責任、老後の生活、病気に対する懸念などが彼らを働き続けさせている」と述べた。

 武漢大学中国農村管理研究センターの夏柱智(か・ちゅうち)準教授は、「1950、60年代に生まれた出稼ぎ労働者は、最も早く出稼ぎに行った人々で、最も苦しくて大変な仕事をしており、建設業界の「退職令」影響を最も受けた人々でもある」と述べた。

(翻訳・吉原木子)