中国共産党(以下、中共)政府外交部(外務省相当)の元報道官・新聞司副司長である趙立堅(ちょう・りつけん、50)氏は、辺境海洋事務司に異動し、このほど、中国とベトナムの辺境で境界標にペンキ塗りをする姿が話題になった。

 中国SNSウェイボー(微博、Weibo)ユーザー「可愛多趙蜀黍」は9日、趙氏が中国とベトナムの辺境付近の広西チワン族自治区東興(とうこう)市で視察する姿が映った、一連の写真を投稿した。濃色のジャケットとズボンに身を包んだ趙氏は、集団の先頭に立ち、境界標にペンキ塗りをしていた。

 一件はネットユーザーの間で話題になった。趙氏の以前の発言「こっそりと喜んだらよい(偸着楽吧)」を皮肉りながら「これは会議に出席せず、こっそりと喜んでいるんだな」とのコメントがあった。「辺境視察する趙立堅。スピーカーから番犬になったね」とのコメントもあった。

 趙氏は中共外交部報道官を務める間で、中共の横暴非道で二枚舌な醜態を如実に表現できていると酷評されていた。2021年12月の外交部定例記者会見で、趙氏は外国記者に向けて「コロナ期間、中国で生活しているあなたがたはこっそりと喜んだらよい」と言い放った。しかし、中共の極端な防疫政策「ゼロ・コロナ政策」で中国国民は大変苦しみ、外交部報道官の話は実情とは正反対なため、ネットユーザーは趙氏の「こっそりと喜んだらよい」発言を中共外交部を揶揄する常套句として使ってきた。

 今年1月、趙氏は突然「辺境海洋事務司副司長」に異動。中共外交部ホームページの情報から見ると、同司は「陸上・海上国境に関わる外交政策の策定」を担当するという。

 この突然な異動について、「中共外交部の内部紛争に関係する」との推測があった。時事評論家の杜政氏は1月12日、台湾メディア上報(アップメディア、Up Media)で「趙が異動させられたのは、新任の外交部長(外相)の秦剛(しん・ごう)に嫌われたから」と分析した。「北京の官界で流れている噂だと、秦は、趙の気取ることなく強硬で粗野なやり方をとても軽蔑し、趙を『ケンカを売ることを恐れないけど、うまくできていない』と酷評している」「そのため、外交部長になった秦は、自分が好きな人を引き入れ、嫌いな人を追い出す。これは中共政権でよくあることだ」とも綴った。

(翻訳・常夏)