2023年3月4日午後、イーサン・ガットマン氏の講演会終了後、弊社の記者はガットマン氏を取材しました。

記者:みなさん、こんにちは。イーサン・ガットマン氏は、アメリカ出身のジャーナリストです。15年ほど前から、中国における臓器移植問題の調査を始めました。約10年前に本を出版し、調査結果を公開しました。ガットマン氏の本には、労働収容所、刑務所、軍病院、一般病院など、中国の実際の状況に関する多くの確固たる証拠が掲載されています。

記者:中国で行われている生体臓器収奪について、どのようなきっかけで知られたのかを簡単にご説明していただけませんか。

ガットマン氏:最初は、中国当局と法輪功の衝突に関する本を書いていました。私から見れば、この歴史について書ける人はおそらく他にいないだろうと思い、私がその歴史を書く人になりたいと思ったのです。私が中国に住んでいる間、法輪功学習者が迫害されているのを目のあたりにしていたことがあったので、それが中国の最も重要な問題であることは分かっていました。

 当時、私は中国共産党の労働強制収容所で迫害を受けた女性法輪功学習者にインタビューしました。ある農村から来た女性法輪功学習者は、健康診断を受けたと言いました。私はその健康診断について質問しました。しかし、彼女が語った話しでは、受けたその検査は全く健康診断の内容ではなかったのです。なぜなら、医師は彼女の目を5分から10分ほど検査し、灯りを当てて観察したそうです。しかし、(健康診断であるべく)視力については何も検査せず、組織と角膜にしか興味がないとのことでした。私はその話を聞いて驚きました。なぜなら、彼女は自分が言ったことが何を意味するのか全く分かっていなかったからです。実際、彼女はずっと話題を変えようとしていました。彼女は「なぜその検査の話を聞くのですか? 受けた拷問や修煉のことを教えてあげたいのに、あなたはその検査について聞きたいのですか?」と述べました。彼女は少し焦っていました。しかし、私はただ、(生体臓器収奪は)本当かもしれないと思いました。この事で私は初めて(生体臓器収奪の証拠を)見つけました。

 一度興味を持ったら、手放す事が出来ませんでした。私が今やっていることは他と異なります。なぜなら、(調査しようとしている国)中国は他の国よりも横暴的で、彼ら(中国当局)は(敏感的な)特定の場所には人々を(決して)行かせないからです。言い換えれば、法輪功は恐ろしい時期を経験したのです。もちろん、時には中国から脱出できる人もいます。アメリカやヨーロッパに逃れた人はごく少数で、約12人ぐらいだったようです。その他は、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなどにいます。これらの国の政府は、中国当局の要請を拒否せず、指示されたとおりに行動します。そのため、私は(迫害を受けた)彼らを密かに取材しなければならなかったのです。私はまるでスパイのように、ジェームズ・ボンドのように行動しなければなりません。報酬がないですが、これが私がやっていることです。なぜなら、その人たちはそこに隠れているからです。

 危険は私に対してではなく、彼らに対してでした。もし彼らが私と話したことが知られたら、悲惨な結果になるからです。彼らは中国に送り返されたり、生きたまま臓器を収奪されたり、拷問を受けたり、そのどれもがあり得ることだし、強制労働に服させられることもあります。

 翻訳者やカメラマンなど、私が一緒に仕事をしている人たちも、大きなリスクを冒しています。私が刑務所に一晩入れられたら、大したことはないと、私がよく言います。しかし、もし彼らが捕まってしまったら、一晩だけでは済まず、運が良くても一生刑務所に入ることになるかもしれません。そのため、私が今心配しているのは調査のリスクです。

 他の国では全く違う状況となっています。通常、私は歩き回って法輪功学習者と話をすることができます。トラブルを起こしたりすることもあるかもしれませんが、通常は問題ありません。タイ、香港、台湾に何の問題もなく行くことができます。

 私たちは正義を貫かなければなりません。中国共産党は、自分たちがやったことに代償を払い、責任を取り、犠牲者の家族に賠償金を支払わなければなりません。それが最終目標です。ゼレンスキー氏は、ロシアとの戦争の最終結果はクリミアの奪還になるだろうと述べました。生体臓器収奪の最終結果は、中国共産党が自分たちのやったことに責任を逃れることができず、その代償を払わなければならないということです。

記者:米国は違法な臓器移植を止めるために、どのような措置を取ったのでしょうか?

ガットマン氏:これはとてもいい質問です。というのも、ここ10日間で米国議会で大きな動きがあったことは、おそらく皆さんご存知だと思います。「強制臓器摘出停止法案」が議会に提出されました。それが採決されることを意味します。つまり可決される可能性があります。これは、米国における医学分野でこの問題についての議論が終えたことを示しており、信じられないほどの進歩です。

 同時に、国際心肺移植学会(ISHLT)の医師たちも、驚くべき行動を起こしました。それは、中国の医師が彼らの学会雑誌に論文を掲載できず、中国の外科医や移植外科医も論文を発表できないと決定したのです。これは大きな転換です。実際、国際心肺移植学会は彼らの年次総会の初日に、私を講演に招待してくれました。非常に良い手配です。彼らは私が何を話すか知っていたのです。

 このようなことは、中国の記者はおそらく報道しないでしょう。このことがどれほど偉くて、驚くべき革命であるかと、私は言いたくはありません。しかし、議会による政治的行動、医学界による中国の参与政策や宥和政策への方針の逆転、この2つのことが同時に起こっているのです。このように言った方がより適切だと思います。これは新しい変化であり、人々を目覚めさせる警報です。

記者:そうですね、生体臓器収奪が発覚してからすでに15年以上になります。

ガットマン氏:この調査は人々を納得するように行われていないが、それを努力して解決しようとする人がいます。私はすべての被害者にお詫び申し上げます。私はいくつかの素晴らしい仕事をしてきたが、時々うまくいかないこともあります。料理が苦手な私がキッチンでサンドイッチを作るのに多くの時間がかかったように、何をどうすればいいのか分かりませんでした。これらの調査は時間がかかりすぎており、もっと早く解決すべきだったのです。

 (医学界で)認可を得るのは容易ではありません。中国がこれらのことを促進しました。もし彼ら(中国の医師ら)が国際会議に参加すると嘘をつかなければ、今頃は誰も行動を起こしていなかったでしょう。これは画期的なことです。臨床医学界にとって、これは突破口(とっぱこう)です。中国共産党が嘘をついていること、多くの人々が虐殺されていることは誰もが知っています。これほど簡単なことですが、どうやら、このことを知らない国際機関は世界保健機関(WHO)だけです。事実上、WHOは中国共産党に買収されているようです。これが今、私たちが直面している状況です。

 被害者については、中国国民が全力で対応を考えるしかないでしょう。中国国民は行方不明者を見つけるために努力しなければならないということを認識しなければなりません。これは難しいことだが、(社会正義を)再建する過程であるのです。

記者:過去20年間、多くの日本人が中国で臓器移植手術を行ってきましたが、これについてはどのようにお考えですか?

ガットマン氏:日本はこうした事実をずっと否定してきたと思うが、早く変わることを望んでいます。彼ら(日本)は有罪の可能性のある個人を捕まえ、犯罪グループを無視する傾向があります。それが問題であり、体制的な問題なのです。彼らは見て見ぬふりをしているのです。

 (中国北京にある)日中友好病院は、法輪功学習者やウイグル族の臓器が入手できる場所として悪名高いのですが、それは事実です。もちろん、チベット人の臓器や一部の家庭教会関係者の臓器、囚人の臓器もあるかもしれません。しかし、問題は、そこに行けば臓器が手に入ることを、みんなが知っていることです。その病院の看護師たちは流暢な日本語を話すことができます。明らかに、彼女たちは日本人から利益を得ています。これらは、決して日本が無視できるようなことではありません。

 まず、その病院だけの問題ではありません。日本の政府関係者は、自分たちと医療界との関係を見つめ直すべきです。経済的なつながりがたくさんあることを知っています。また、中国で多くの日本製品が売られていることも知っています。しかし、中国には多くのアメリカ製品も売られていますよ。

 私たちアメリカも、イギリスと同様、いくつかの措置を取っています。イギリスの進展を見てください。イギリスは今年から臓器移植ツーリズムを禁止し、そうしたつながりを断ち切っています。

 カナダを見てください。ご存知の通り、カナダは、特にカナダのビジネス業界は中国当局に完全に服従しています。カナダのビジネス業界はこれまで、トラブルを起こさないことを言い訳にしてアメリカ人に対応して言い返しています。しかし、カナダが(生体臓器収奪に)反対していることで、トラブルを引き起こしていません。

 実際、日本はこの点で我々よりはるかに遅れており、本当に追いつく必要があります。

(文・黎宜明/翻訳・藍彧)