「臓器濫用及び移植ツーリズムについて考える」国際シンポジウム(写真撮影:看中国/黎宜明)

 11月30日、アジアにおける臓器濫用の状況について、日本、韓国及び台湾の有識者たちが東京大学で国際シンポジウムを開催した。

臓器濫用の現状

 カナダ勲章の受章者で2010年ノーベル平和賞候補者である人権弁護士デービッド・マタス氏は、臓器の違法な取引を防ぐイスタンブール宣言を紹介し、中国での臓器収奪と中国への渡航移植の事例を取り上げた。高い信頼度の証拠から、「臓器狩り」と中国への渡航移植が現在も続いていると語った。その犠牲者は無実の人々であり、主に精神修養の気功法である法輪功の学習者、そして最近ではウイグル人だと述べた。

発言中のデービッド・マタス(写真撮影:看中国/黎宜明)

 国立台湾大学附属雲林病院の医師で、台湾国際臓器移植関懐協会の副理事長兼スポークスマンの黄士維氏は、台湾「人体臓器移植条例」の改正と、台湾における移植ツーリズムの影響を紹介した。黄氏によると、台湾人が中国本土に行って腎臓移植を行う移植ツーリズムは、1990年代に始まった。2000年以降、腎臓移植は増加した。肝臓移植は2000年以降急増し、2005年にはピークに達した。同年、中国へ渡航して肝臓・腎臓の移植手術を受ける患者は500人近くだったという。

 2006年、マタス氏らの「臓器狩り」調査報告の発表を受けて、台湾衛生署は医療従業者に対して移植の仲介と関与を禁止した。そのため、同年以降、中国へ渡航して臓器移植を受ける人数は毎年約200人まで減少した。2008年、臓器移植ツーリズムを実質禁止とする『イスタンブール宣言』が採択されたことにより、台湾人権団体と立法院(国会に相当)は、人体臓器移植条例の更なる修正を進め、移植ツアー参加者の人数は100人にまで減少した。

 韓国の高麗大学校医学部長で韓国医学大学連盟会長の韓煕哲氏は、統計学に基づき2000年から2017年にかけて、海外で臓器移植した韓国人患者のデータを分析した。

 韓氏によると、同国ではすべての国内における臓器移植は系統的に、透明性を持って法律に基づき、国立臓器移植管理センター(KONOS)により運営されている。KONOSは毎年、すべての臓器移植患者を含む国内の臓器移植について統計を発表している。しかし、政府は海外渡航移植の例は管理していない。

 そこで、韓氏は、韓国人の臓器移植件数と、免疫抑制剤の処方箋の件数から、既に公表されている国内の臓器移植患者の数を差し引き、海外渡航移植患者を割り出した。この手法で産出されたデータは、台湾のデータと似ていることが分かった。2005年、海外で臓器移植を受けた韓国人患者の人数がピークに達して、その後減少した。

 琉球大学名誉教授で移植外科医師である小川由英氏が、日本の移植ツーリズムの現状について語った。日本の厚生労働省が2006年に実施した調査によると、少なくとも522名の日本人患者(心臓103名、肝臓221名、腎臓198名)が1984年から2005年にかけて海外で移植を受けた。当時から今もほとんど状況は変わっていないと思われると推定している。

この国際シンポジウムに関する動画:

「移植ツーリズムを停止する関連法律の早期の制定を」国会で報告会開催:

中国の臓器狩り:動かぬ証拠(日本語吹き替え版) 鐵證如山 ドキュメンタリー:

(つづく)

(内容を更新しました。)

(文・黎宜明)