北京三元橋に中央企業MCCの本社(N509FZ, CC BY-SA 4.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で)

 中国の大型中央企業など20社が10月31日、11社への統合を行なった。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の主催で、当事者は集中調印式を行った。「国進民退(こくしんみんたい)」と呼ばれる習近平指導部の国有強化のひずみが表面化してきた。

 今年7月12日、同様の集中契約を行った13組の統合プロジェクトが同じ集中調印を行った。23社の中央企業が関与し、国務院国有資産監督管理委員会が監督する約4分の1を占めている。

 これらの統合は、中央企業と中央企業間の類似事業の統合から、産業チェーンの上下の統合まで、多岐にわたった。

 中国の国有企業には様々なカテゴリーがある。中央企業とは、中国共産党中央委員会直属の企業で、国務院または国務院国有資産監督管理委員会が出資者の役割を果たし、中国国有資本が独資または持株する国有企業である。現在、国務院国有資産監督管理委員会が管理する中央企業は98社で、ほとんどの経済分野をカバーしている。

 上記の2つの統合のほか、習近平政権下で26組47の中央企業がいわゆる戦略的再編を実施した。再編後に形成された巨大企業には、鞍山鋼鉄集団、中国中化集団、中国船舶集団、宝鋼集団、中国遠洋海運集団などがある。

 再編・統合に加え、中央政府は同期間に10社の中央企業を新たに設立した。例えば、今年設立された中国鉱物資源集団、昨年設立された中国衛星ネットワーク通信集団、中国電気装備集団、中国物流集団、中国レアアース集団など。

 中国の中央企業はいずれも規模が大きい。2016年のように、中国遠洋運輸集団(COSCO)と中国海運集団の再編は、上場企業8社、従業員11万8000人、総資産6100億元(約12兆円)に及び、この取引は資本市場史上最も複雑な取引と呼ばれ、双方はこのために少なくとも半年かけて計画した。これは、統合される50組中央企業のうちの1つに過ぎない。

 中国当局は、中央企業の統合を進める目的は、優良企業や大企業の事業に資源を集中させ、国際一流企業を作るためなどだと主張している。9月1日に開かれた関連会議で、国務院国有資産監督管理委員会の翁傑明(おう・けつめい)副主任は、各産業を1つの中央企業が独占し、各中央企業は1つの産業に集中することが必要だと主張した。

 習近平政権は近年、中国の民営企業を徹底的に抑圧する一方で、国営企業を全力的に支援している。習近平氏が中国の経済構造を毛沢東時代に戻そうとしていることを示している。

 米国在住の中国専門家で時事評論家の李燕銘氏は、中国共産党の独占的なやり方は後戻りの道を歩んでいるものであり、このような超大型国有企業は往々にして腐敗が横行し、弊害が生い茂っていると述べた。李氏はまた、中国共産党の大型国有企業の多くは江沢民や曾慶紅の一族などの有力な利益者が保有しており、中央企業の新たな統合は、習近平氏が経済領域で江沢民の影響力を排除したいことを意味していると述べた。

(翻訳・藍彧)