外洋航行中のミサイル護衛艦(DDG)「みょうこう」(防衛省・自衛隊ホームページ, CC BY 4.0 , via Wikimedia Commons)

 北朝鮮が最近連続してミサイルを発射した後、日米韓の首脳が頻繁に会談し、その対応策を協議している。産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は、北東アジアの地政学に新たな局面が形成されていると述べた。

 北朝鮮のミサイル発射を受け、米韓の国防相が3日に会談した。会談後に発表された共同声明では、地域の緊張を高める最近の北朝鮮の行動を警戒し、米韓は軍事同盟を強化し、朝鮮半島の安定維持に努め、台湾海峡の平和と安定維持の重要性を改めて表明した。同日、日韓の国会議員による会談が行われた。麻生元首相も2日、ソウルに飛び、尹錫悦(ユン・ソクヨル)韓国大統領と会談した。

 北京特派員だった産経新聞台北支局長の矢板氏はフェイスブックの投稿で、日本と韓国が2018年に外交関係が悪化して以来、これほど密接に交流するのは久しぶりだと述べた。今回、北朝鮮の脅威が急に高まり、双方がすぐに対策を協議したことで、日韓の対立が解消できないわけではないことが明らかになった。

 「日韓関係の修復は、北東アジア情勢の安定にとって非常に重要であり、双方が冷静になり、一日も早く関係が修復されることを願っている」と矢板氏は述べた。北朝鮮の最近のミサイル発射は、表面的には米韓軍事演習への不満であるが、実際にはどんな理由でもよかったのだ。

 矢板氏は、北京で特派員をしていた時、中国と北朝鮮の国境付近を何度も取材したことがあったと述べた。北朝鮮の経済はほぼ中国に依存しており、中国共産党とは時に小さな対立はあっても、本気で仲違いする勇気は決してない。

 最近の北朝鮮のミサイル発射について、矢板氏は、北朝鮮の目的は2つあると考えている。1つは、ウクライナ戦線におけるロシアへの圧力を緩和するために米国の気を引くこと、もう1つは、台湾が中国共産党の侵攻を受けた際に、台湾を救援しないよう日本、韓国、及び日韓に駐留する米軍に警告すること、さもなければ北朝鮮軍が韓国や日本を攻撃する。

 矢板氏は、北朝鮮の軍事力は脆弱だが、それでも必死に前面に出れば、日本や韓国の世論にある程度の影響を与えることができると述べた。日本にも韓国にもいわゆる「平和主義者」がおり、国内で反戦運動を起こす可能性がある。特に米海兵隊が駐留する沖縄は、日本の左翼の牙城であり、米軍艦の出航は日本の左翼に邪魔されることになる。

 矢板氏によると、現在の国際情勢は今、すでに中国共産党、ロシア、北朝鮮の準三国同盟を形成しており、日本、米国、韓国、オーストラリア、英仏独などの欧州諸国に対抗している。この拮抗(きっこう)した対立関係はしばらく続きそうだ。

 矢板氏は、波風の先に位置する台湾は、日米の側に立つべきだと述べた。しかし、台湾にはまだ中国(共産主義)に好感を持っている人がいる。11月26日の台湾九合一選挙(台湾の地方選挙)の結果により、国際社会が台湾の人々の選択を誤解することにつながらないよう望んでいる。

(翻訳・藍彧)