中国銀行(Junjiewu99, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 中国広東省深セン市では、中国銀行(BOC)、中国建設銀行(CCB)、中国工商銀行(ICBC)などの大手国有商業銀行の多数の利用者がこのほど、「カード凍結」のトラブルを経験し、SNSで話題になっている。

 中国メディア「第一財経」によると、深センの利用者が最近、電子決済「ウィーチャットペイ(WeChatPay 、微信支付)」から現金を引き出せなくなり、ウィーチャットにログインすると、銀行口座の凍結を解除しなければならないことが分かった。しかし、その申請の手続きは複雑で、身分証明書、社会保険、住所、雇用証明などの個人情報を開示しなければならなかったという。

 深センにある中国銀行の多くの支店で、銀行カードの使用に異常がある場合、当面の間、本人が銀行の支店に来店して問い合わせるか、中国銀行のウィーチャットのミニプログラム「中銀在家」にて問い合わせてくださいという、電話の自動応答が設定された。記者が中国銀行の支店への取材に行ったところ、多くの利用者がお問い合わせの列に並んでいた。

 中国銀行のスタッフは、来店した利用者はほとんど、銀行カードが凍結され、解除してもらうために来たと記者に明かした。公安部の「カード凍結キャンペーン」に協力するため、銀行はすべての口座を対象としてチェックを行うことになり、資金が危険にさらされていることが確認されると、銀行カードが凍結されることになるという。利用者は自宅でオンライン、または銀行に来店し、「通常2~3営業日以内に解決することができる」と述べた。

 中国銀行だけでなく、建設銀行、工商銀行、中国郵政儲蓄銀行(PSBC)など多くの銀行で同様の状況が発生した。一部の銀行の支店の入り口には、「カード凍結」が原因で来店する利用者の長い行列ができた。

 利用者は当局のいわゆる「カード凍結キャンペーン」に対して、「銀行がやりすぎた」、「キャンペーンがあまりにも大掛かりで、結局、詐欺師はあまり捕まらないが、一般市民の生活は大きく翻弄された」と不満を持っている。

 最近、中国各地で未完成不動産物件の購入者の「住宅ローン返済の拒否」が相次ぎ、銀行の資金繰りが悪化している。「カード凍結キャンペーン」で資金繰り不足の問題を解決しようとしているのではないかと、多くの人に疑問視されている。

中国銀行の深圳にある支店の様子:

(翻訳・徳永木里子)