沼津夏祭り(Krmt, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 中国ではこのほど、反日感情が再び高まり、日本文化をボイコットする人々が各地で見られた。

 北京地下鉄「黄廠駅」にある大型壁画「子供たちの楽しい市場」が、最近ウェイボー(微博、Weibo)などのSNSで標的にされている。壁画には、日本の象徴である「ちょんまげ風の髪型」や「鯉のぼり」を持った子供たちが描かれており、作風も日本の浮世絵に似ていることから、多くの中国のネットユーザーに「和風」だと非難された。プレッシャーを受けた北京市地鉄運営有限公司は、7月29日に壁画に関する調査を開始したと発表した。

 中国のオンライン動画プラットフォーム、ビリビリ動画(ビリ動)が先日、日本にちなんだ「夏祭り」を企画し、中国北部の山東省から中国南部の雲南省まで21のイベントを開催する予定だった。多くのネットユーザーのボイコットにより、ビリ動は、代わりに7月中旬に中国にちなんだイベントを開催することになった。

 未成年者に向けて共産主義思想のプロパガンダを行う中国共産党(以下、中共)の公式サイト「未来網」によると、「全国各地で『夏祭り』が中止」のトレンドトピックはウェイボーでの閲覧数は1600万回を超えたという。同サイトは、78%のネットユーザーが夏祭りが中国国民の感情を傷つけたと考え、11%だけが単なるアニメコンベンションだと考えていることを強調した。

 安倍晋三元首相が暗殺された後という敏感な時期に、一見散らばっている反日活動が、実は集中的に発生したのである。この点について、台湾国立中山大学日本研究センター事務局長の郭育仁教授は、中国でのこれらの民間反日活動の背景には、中共による意図的なナショナリズムの影響があると見ている。

 郭氏によると、安倍氏の死後、中共は敏感な時期に日本を怒らせないために、日本との軍事・外交対決を抑え、代わりに世論を操作して間接的に公式の信号を出しているようである。中共が反日世論を操作し、中国に進出している日本企業にプレッシャーをかけ、間接的に日本政府の対台湾政策や憲法改正に影響を与えようとしていると考えている。

(翻訳・徳永木里子)