中国の100元高額紙幣( CC0 Public Domain )

 中国公認会計士協会(CICPA)の講師でアセットマネジメントの社長である呂定傑氏は最近の講演で、中国人民銀行(中央銀行)が2025年までに高額紙幣の廃止を計画していると明らかにした。

 呂定傑氏は動画で、中央銀行が現在デジタル通貨を推進しており、「デジタル通貨を使うと、あなたたちはもはや人間ではなく、誰もがGPSを搭載した小さなアリになり、日常生活のあらゆる出来事が明確に記録される。デジタル通貨はブロックチェーンテクノロジーに基づいている。ブロックチェーンとは、ビジネス・ネットワークにおいてトランザクションを記録し、資産を追跡するプロセスを容易にする、変更不可能な共有台帳である。中心化された方式で利用者を監視できるのだ」と述べた。

 呂氏はまた、中央銀行が2025年までに高額紙幣を廃止するためのスケジュールを立てていると直言した。その頃には、100元や50元の人民元は廃止されてしまう。さらに、20万元以上の大口現金引き出しの場合は、用途だけでなく出所も登録しなければならない。

 中国人民銀行は2020年4月から、広東省深セン市、江蘇省蘇州市、河北省雄安新区、四川省成都市の4都市・地域でデジタル通貨の初のクローズドテスト(実証実験)を行ってきた。同年5月からは、一部の政府職員に給与の一部を人民元と同じ価値のデジタル通貨で支給するようになった。さらに、2020年11月には海南省、上海市、湖南省長沙市、陝西省西安市、山東省青島市、遼寧省大連市の6省市と、北京市と河北省張家口市の冬季オリンピック・パラリンピック会場を対象地域に追加していた。そのほか、デジタル人民元アプリ(パイロット版)の提供が2022年1月4日に開始されている。この制度が全面的に普及すれば、各資金取引が中央銀行の監視下に置かれることにだろう。

 これに対して、ユーチューブチャンネル「財経冷眼」は、「中国のデジタル通貨は、紙幣の無制限印刷、個人財布の監視、資本流出の防止、あるいは計画経済の実施のいずれも、最終的な目的は国民の人身の自由をコントロールするためだ。要するに、中国人を、風を切ってのんびりできる庭から、牢屋という狭い空間に追い返すことだ」と分析した。

 「財経冷眼」はまた、「これで、中国人の40年来の金儲けの夢も、富の自由の夢も、すべて水の泡になるだろう。長い暗黒の時代が、再び訪れるだろう」と警告した。

(翻訳・藍彧)