中国の警察署(イメージ /zhenghu feng CC BY 2.0 via flickr

 中国国家安全省は6日、「国家の安全を脅かす行為」を通報する市民を奨励し、匿名でも受け付け「特別重大」な情報には最大10万元(約200万円)の報奨金と報奨証明書を与える新法を公布した。中国メディア8日の報道で分かった。

 中国の報道によれば、この法律は「公民挙法危害国家安全行為奨励法( 国家安全を危うくする行為を通報する市民への報奨弁法)」というもので、5章24条からなり、国家安全法と反スパイ法を「大衆の路線と一体化」することに重点を置き、スパイ行為を通報した者にはその貢献度によって「一定の効果」「重要な効果」「重大な効果」「特別重大な効果」の4つのクラス分け、1万元から10万元(約20万から200万円以上)の報奨金を支払うこととしている。

 中国国安省の関係責任者は、中国共産党中央政法委員会の機関紙「法制日報」に対し、中国の国家安全が「深刻で複雑な状況に直面しており、特に海外のスパイ・情報機関や各敵対勢力がより多様な手段で、わが国に対する潜入・窃盗活動を著しく強化している」とし、「本措置の制定は、深刻で複雑な国家安全状況に対応し、国家安全を守り、国の利益の必然的な要件である」と述べた。 

 ロイター通信は、中国では、外国のスパイや国家の安全を脅かす行為を通報すると報奨金がもらえる制度が長年続いていると指摘した。ホットライン「12339」は、中国国家安全保障機関の唯一の公示されたホットラインとして、2015年に開設された。

 この他、北京市の国家安全局は2017年4月10日、外国人スパイに対する取り締まりを強化し、スパイとみられる人物を通報した市民に1万から50万元(約20から1000万円)の報奨金を与えると発表した。「新京報」は2018年4月の報道で、同「措置」が発表されてからの1年間で5000件近い通報を受け、ホットライン12339は「熱く、効果的に活動を続けている」と報じた。同報道は当時、科学研究者からタクシー運転手まで、通報で奨励された事例も複数挙げられた。

 それ以来、中国本土のネット通報受付プラットフォームが中国人を「全国民スパイ」にしてしまったという声も聞かれるようになった。

(翻訳・藍彧)