ジャック・マー(イメージ:World Economic Forum at en.wikipedia / CC BY-SA

 中国中央テレビ(CCTV)は3日、浙江省杭州市の国家安全局が、インターネットを利用して国家の安全を脅かす活動を行った疑いで「馬某」に対して刑事強制措置を取ったと報じた。ジャック・マー(馬雲)が創立したアリババグループとアントグループが杭州市に本社を置いているため、誤認した投資家らはアリババグループの株を慌てて売り出し、香港市場ではアリババの株価が一時的に9.4%も下落した。

 しかし、後にCCTVは、杭州で逮捕された人物の名前が「馬某某」だと訂正した。中国共産党機関紙の環球時報の元編集長・胡錫進氏もウェイボー(微博、Weibo)に投稿し、杭州市国家安全局が逮捕した人物は「馬某」ではなく「馬某某」で、姓名は2文字ではなく3文字だと指摘した。

 CCTVの当該報道は、意図的なものなのではと疑問視されている。中国のネット上では、これは当局による中国の富裕層に対する威嚇行為ではないかと考えている人もいる。

 米国在住の時事評論家・秦鵬氏は「『馬某』を言及しただけで、アリババの株価を下落させ、数百億米ドルを一瞬で蒸発させた。こんな事をしてどうやって経済が発展するというのか」とツイートした。

 この曖昧なCCTVの報道内容に対し、中国の民衆が敏感に反応したということは、不況の衝撃を受けている中国共産党政権は民間企業を国有化し、民間企業の経営者から財産を奪う可能性が高く、中国の富裕層にとって寒い冬が来たと、中国人が悟っているとの意見もあった。

(翻訳・黎宜明)