中国人民銀行(維基小霸王, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)の規制当局はこのほど、主要銀行の幹部を招集し緊急会議を開き、米国が主導する中共の海外資産に対する制裁を回避する方法について議論した。

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」4月30日の報道によると、中共幹部は、「地域的な軍事衝突などの危機」が発生した場合、米国は対ロシアの制裁をそのまま中共に行使する可能性を恐れている。そのため、中共の中央銀行(中国人民銀行)と財政部(財務省に相当)は4月22日に緊急会議を開き、このような状況下で中共の海外資産をどのように保護するかについて議論した。会議には、中央銀行、財政部の関係者、英国の銀行HSBCの代表を含む数十名の中国および外国の銀行の代表が出席した。

 会議に出席した中共幹部は、中共の海外資産、特に3.2兆米ドル(約417兆円)の外貨準備をどう守るかについて、金融機関の幹部たちに質問した。会議では、中共の銀行システムは、米ドル資産が凍結されたり、国際銀行間通信協会(SWIFT)から追い出されたりすることに対処する準備ができていないとして、この問題の良い解決策を打ち出すことができなかった。

 しかし、中央銀行が輸出企業に対して外貨準備を全て人民元に交換するよう求め、中国国内のドル資産を増やすべきだという意見や、中国国民の海外旅行などの海外購入枠を年間5万ドルから大幅に減らすべきだという意見も出た。

 会議中、財政部の関係者によると、米国をはじめとする西側諸国によるロシアの中央銀行の米ドル資産を凍結する制裁のやり方が中共高層部官員らの警戒を強めた。会議の参加者は、「地域的な軍事衝突などの危機」の詳細を明言していなかったが、台湾攻撃が米国の制裁を招く可能性に言及した。

 「もし中共が台湾を攻撃すれば、西側諸国による中国へのデカップリングは、ロシアよりはるかに厳しいものになるだろう。中国の経済的触手はすでに世界中に伸びているから」と情報筋の意見があった。

(翻訳・徳永木里子)