米連邦準備制度の3つの主要な実体(Public domain, via Wikimedia Commons)

 米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、インフレに対応するために、政策金利を0.5%幅引き上げると発表した。これは22年ぶりの最大幅の利上げであり、FRBは同時に、今後2回の会議で同じ幅の利上げを行う可能性があるという強いシグナルを発した。習近平氏が第20回党大会の前に経済を刺激することを急いでいるが、これは彼が最も恐れているニュースかもしれない。

 FRBが3日に利上げを確定する前に、台湾メディアグループの財信傳媒の謝金河(しゃ・きんが)代表取締役は分析をフェイスブックに投稿した。FRBは超タカ派姿勢を示し、米債券利回りは10年期、30年期ともに3%を超え、ドルインデックスも19年ぶりの最高値を記録した。これは資金が中国から大規模に流出し、製造業が去り、不動産バブル危機が発生する可能性があることを意味する。中国経済は厳しい試練に直面するだろう。

 謝氏「ドル高になれば、世界に必ず大きな出来事が起こるに違いない」と述べた。過去40年間の米ドル指数の変化を見ると、ドルの為替レートが急上昇するたびに世界が大きく変化していたことがわかる。例えば、米ドルがピークに達した2007年には、米国経済も最好調に達したが、その後、衝撃的な世界金融危機(リーマン・ショック)が発生した。 謝氏は今回のドル高が中国の経済に影響をもたらし、直撃するだろうと強調した。

 中共高官、4月末の4日間「金融・経済関連の会議」4回開催

 シンクタンク「中国戦略分析」の鄧聿文(とういつぶん)研究員は4日、ドイツの「ドイチェ・ヴェレ」の記事で、この4つの会議のうち最も重要のは政治局会議であり、毎月の定例政治局会議は経済の話題に焦点を当て、外部に伝えたシグナルは、経済が全面的にやらなければならない時に来ていると述べた。

 鄧氏は、これは延々と続くロックダウン(都市封鎖)と経済崩壊の可能性という現実が中国共産党(以下、中共)当局の目の前にあり、それが習近平氏が最も心配している第20回全国代表大会に深刻な影響を与える可能性があるため、彼は自分を救わなければならないからだ。しかし、下層の民衆と大部分の中間層の財布がすでに萎えており、不動産開放の魅力は限られている。資本について、数年にわたる弾圧を受けた後、中共政権への信頼を回復するには、さらに長い時間と困難が伴うだろう。したがって、鄧氏は、中共が経済を救う唯一の方法は、実際に機能しないインフラ整備を大規模に取り組むことであると判断し、中国経済は衰退し続け、場合によってはスタグフレーションになる確率が高く、「中国はここ30年間、最も困難な状態にあると言っても過言ではない」と述べた。

 中国問題の専門家のゴードン・G・チャン(章家敦)氏は最近、新唐人テレビとのインタビューで、中共が直面している危機はかつてないもので、政府債務危機や不動産バブルなどの経済問題のほか、人口増加の衰退と人口高齢化も含まれており、さらに、新型コロナウイルス感染拡大による「コロナゼロ」政策、食糧不足、環境破壊、及び国際地政学的危機などについて、中共には解決策がないと指摘した。

 同氏はまた、第20回党大会で習氏が再選されなければ、中国は混乱に陥るだろうし、習氏が政権を維持すれば、彼の政策は必然的に国の孤立につながるだろうと推測した。

(翻訳・徳永木里子)