文庫本「習近平思想」を読んでいる農民(ネットより)

 中国共産党第20回全国代表大会(党大会)開催前に、広西チワン族自治区には異常なことが相次いでいる。広西チワン族自治区で習近平氏が第20回党大会の代表として全会一致で選出された後、広西当局は「習近平思想」の文庫本を約900万人に配布し、「個人崇拝」キャンペーンを展開している。文庫本「習近平思想」を手にポーズをとる人々の写真がネット上で広く流布している。この本は農家の耕作や農業の指針になる、という宣伝文句もあった。

 文庫本のデザインは、文化大革命時代の「毛沢東語録(Little Red Book)」を彷彿とさせる。海外の中国人は現在、文庫本「習近平思想」を「現代の毛沢東語録」と呼ぶようになっている。しかし、中国人の記憶にある「毛沢東語録」は災難と苦しみを表している。

 毛沢東個人の誤った政策決定によって、1959年から1961年まで中国国内で大飢饉につながったため、中国共産党党内における毛沢東の地位は深刻な挑戦に直面した。毛沢東派の国防相である林彪は、毛沢東の個人崇拝を強化するために毛沢東の著作の学習キャンペーンを展開した。その後、文化大革命が起こり、「毛沢東語録」が大量に発行され、中国人全員でほぼ一冊ずつ手に入るほどになった。文化大革命の間、残忍な政治運動がほぼすべての中国人に影響を与えた。文化大革命が終わるころには、中国経済はほとんど崩壊寸前だった。

 広西当局はかつて、「常に指導者を擁護し、指導者を守り、指導者に従う」というスローガンを唱え、習近平氏を「指導者」と呼ぶ前例を作ったとされる。

(翻訳・黎宜明)