NASAの小型ヘリコプター(イメージ:NASA/JPL-Caltech)

 米NASAの火星探査機「キュリオシティ」は最近、火星の表面の岩石から、地球上の有機生命体を構築するための基本的な材料となる「炭素12」の重要な同位体を発見した。科学者は、火星には過去に少なくとも微生物が存在していた可能性があると考えている。

 海外メディアの報道によると、キュリオシティは35億年前のゲール・クレーターから24種類の岩石サンプルを抽出し、搭載された機器で分析した結果、サンプルに大きなばらつきがあり、そのうち6種類のサンプルは炭素12と炭素13の含有量が地球の参照基準値よりも70%以上高いことが判明した。

 火星のサンプル分析化学研究所(SAM)の主任研究者ポール・マハフィー氏は、地球の炭素のほとんどは岩石や堆積物に含まれ、残りは海洋、大気、地球生物に含まれていると語った。リサイクルサイクルを持つ炭素原子は、地球上の生物活動のトレーサーである。 そこで彼らは、火星も生命を構築するための基材として、炭素を使うのではないかという仮説を立てた。

 また、研究に参加したペンシルベニア州立大学の地球科学者クリストファー・ハウス教授によると、クレーターの尾根の頂上やその他標高の高い場所から採取したサンプルには、標高の低い場所のサンプルよりも多量の炭素12と炭素13が含まれており、火星の大気中の炭素循環が地球と似ていて、生命の誕生に適した環境を作っている可能性が示唆されたとのこと。

 今回の発見により、かつて火星に生命体が存在した可能性が大きく高まったものの、人類はまだ火星に微生物が存在する「物理的」証拠を発見しておらず、真の答えを見つけるにはさらなる調査が必要だとしている。

(翻訳・藍彧)