スイス経済の中枢であり、欧州屈指の金融センターであるチューリッヒ市(flickr/kuhnmi CC BY 2.0

 2021年末までに、スイス連邦税務局は、数百の国または地域に関連する海外顧客情報を引き渡した。つまり、スイスはお金を隠す安全な場所ではなくなり、中国共産党の権力者を含む独裁政権の関係者もパニックに陥ったのである。

スイス、銀行顧客データの転送を完了

 2021年末までに、スイス連邦税務局は、数百の国または地域にオフショア顧客情報の移転をほぼ完了すると、メディアで報じられた。世界最大のオフショア市場を有するスイスは、何世紀にもわたって銀行の顧客情報を秘密にしてきたシステムを放棄した。

 中国では、中国共産党の権力者がスイスなどのオフショア銀行に資産を預けていることは周知のことだが、彼らのオフショア資産の額はトップシークレットとなっている。

 中共高層がスイスに移転した資産はいくらだろうか。中国財政部財政研究所元所長の賈康教授は、「スイス銀行は、100人の中国人が合計7兆8千億元人民元(約139兆円)、1人平均780億人民元(約1兆3千億円)をスイス銀行に預けていると発表した」と明かした。

 数年前、ウィキリークスは、共産党幹部がスイス銀行に約5,000の口座を持ち、その7割近くが中央幹部であることを明らかにした。

江沢民一族の膨大な資産

 米国在住の元中国豪商郭文貴が2019年に暴露したことによると、江沢民の孫、江志成は少なくとも5千億米ドル(約56兆円)の資産を抱え、江沢民一族が海外で少なくとも1兆米ドル(約113兆円)の富を支配しているというニュースを流した。江一族は数千の企業、金融機関、財団、企業を支配しており、国有、金融商品、金融機関、大型保証、特権など様々な手段で海外に56兆円をロンダリングしている。これらの資産は、米国の大手ファンド数社や大手テクノロジー企業数社への投資など、さまざまな場所に移管された。

 江沢民一族だけでなく、前中央政法委書記・孟建柱や現政治局常務委員・韓正など、多くの共産党幹部が海外に巨額の資産を持っていることが報道されている。

 一部の海外メディアは、国有資産監督管理委員会主任、元中国石油代表取締役蔣潔敏が、自らの権力を利用し、周永康らに100億米ドル以上の利益を儲けさせ、スイス銀行にロンダリングしたと報じた。

マネーロンダリング情報の公開により、共産党の権力闘争が激化する可能性

 カナダ・ヨーク大学の沈栄欽教授は9日、新唐人に対し、「江沢民の息子は、上海の土地開発に関するすべての権力を握っており、彼の利益の源泉は、社会への貢献価値ではなく、権力から生まれるものである。この場合、自分の権力が永久に維持できないことを知った上で、自らの富の保管先を見つけることがより重要なことだ」と述べた。

 沈栄欽氏は、今年は第20回全国代表大会があるので、このマネーロンダリング情報は習近平が即位する上で非常に重要であり、政治的な闘争は、おそらく想像以上に激しいものだと考えている。

(翻訳・北条)