(看中国/Vision Times Japan)

 中国共産党(以下、中共)の監視に応えるため、北京冬季五輪に出場する選手に対し、スマートフォンやパソコンなどを持ち込まないよう欧米の五輪委員会が助言している。個人の機器を通じて情報を抜き取るスパイ行為を懸念した措置とみられる。

 米紙USAトゥデーによると、米五輪委員会は機器のレンタルや使い捨てを推奨している。

 米国チームが発表した技術公告では、「パソコンと同様に、携帯電話のデータやアプリケーションも、悪意のある侵入、感染、データ漏洩の影響を受けやすい」ことを説明したと、英国の日曜版大衆紙「メール・オン・サンデー」は16日に報じた。

 同公告では、選手、コーチ、トレーナーが北京にいる間はレンタルまたは使い捨ての電子機器を使用するか、少なくとも旅行移動前および移動中にすべての個人データを消去することを推奨している。また、ユーザーのリスクを軽減するVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用することを勧めている。

 「中国に持ち込まれたシステムやデータを保護するためにあらゆる安全策が講じられているにもかかわらず、中国におけるすべてのデータや通信が監視、侵害、傍受される可能性があると想定されるべきである」と書かれていた。

 オランダ紙フォルクスクラントは11日、オランダの五輪委員会が、スマホやパソコンの持ち込みを見合わせるよう選手に求めたと報じた。ベルギー五輪委員会も、「義務ではなくアドバイス」として、選手に同様の提案をしている。

 オランダの五輪委員会とオランダスポーツ連合が選手や後方支援者に携帯電話やノートパソコンを提供し、帰国後に破棄するという。

 カナダ五輪委員会は、北京大会が「サイバー犯罪のユニークな機会を提供する」と述べ、アスリートへの警告をより外交的に行った。「大会期間中は、個人所有のデバイスを自宅に置くことを検討し、大会に持ち込むデバイスに保存される個人情報を制限し、常に良好なサイバー衛生を保つなど、十分な注意を払うよう(選手に)助言した」

 オーストラリアとイギリスの五輪委員会も、同様の警告を発表したと、米紙USAトゥデイ紙が報じた。

 英五輪委員会は「個人情報の尊重」を理由に、希望する選手やスタッフに機器を貸与する。

(翻訳・徳永木里子)