健康に有害な「クレンブテロール」(ネットより)

 北京冬季五輪は来月に開催予定。ドイツのスポーツ選手にとって2つの大きな懸念がある。1つは中国の食品安全、もう1つは中国政府によって操作されたPCR検査。

 ドイツの薬物乱用防止団体ドイツ・アンチ・ドーピング機構(NADA)は10日、北京五輪に参加する選手に対し、中国産の肉を食べないよう強く呼びかけた。中国産の食肉にはクレンブテロールが含まれている可能性があるため、クレンブテロールを含む食肉を食べた選手は禁止薬物を使用したものとして扱われる恐れがある。

 中国の多くの地域では、クレンブテロールは、豚や牛などの動物の脂肪を減らし、赤身肉の比率を高めるために農家で使用されている。クレンブテロールを大量に摂取すると、体の筋肉量を増加させる作用があるため、現在では国際的なスポーツ団体によって禁止薬物とされている。選手は体内でクレンブテロールが検出されると、厳しい処分を受けることになる。

 2010年6月、ドイツ卓球協会は、毛髪からクレンブテロールが検出された所属選手1名を2年間の出場停止処分とした。同選手は、遠征先の中国蘇州市内のホテルで食べた豚肉に薬物が残留していたとして協会に抗議した結果、同年8月、「食事に由来する誤摂取」と判断され処分を解除された。

 また、ドイツスキー協会のアルペンスキーチーム代表であるヴォルフガング・マイヤー氏は、先週末にドイツのスポーツニュース通信社「SID」に対し、北京冬季五輪で各国の選手へのPCR検査が操られるリスクを懸念し、中国でのPCR検査の判定基準に疑問を呈している。

 中国政府が公表したPCR検査の基準は、国際で使われている基準よりも厳しいため、ドイツの選手が自国のPCR検査に合格しても、必ずしも中国のPCR検査に合格するとは限らない。マイヤー氏は、中国政府がPCR検査を使って競争力のある外国人選手を排除する可能性があると懸念している。国際オリンピック委員会(IOC)は、こうした重要な問題に注意を払っていないと、マイヤー氏は批判した。

(翻訳・徳永木里子)