ドイツのナタリー・ガイゼンベルガー選手(Sandro Halank, Wikimedia Commons, CC-BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 北京五輪のリュージュ女子1人乗りで金メダルを獲得したドイツのナタリー・ガイゼンベルガー選手は9日、記者会見で中国の人権問題に対する見解を問われ、「中国を離れてからコメントする」と発言した。

 ロイター通信によると、記者会見で、開会式以来、中国の人権問題が言及されなかったことに驚いたかと問われたガイゼンベルガー選手は、「話す場所とタイミングに注意しなければならない」「(ドイツに)帰ったら、もっと言いたいことがあるかもしれないが、ここではしゃべらない」と述べた。

 中国共産党(以下、中共)による新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に、米英など西側諸国が北京五輪の外交ボイコットを表明した。人権団体からは、欧米は中共に甘すぎるという批判がある。人権の課題も、中共の冬季五輪の招致から現在に至るまで引き継がれている。

 ナンシー・ペロシ米下院議長は北京五輪の開幕前に、中共政府は「冷酷」で「善意がない」ため、人権を主張することで中共政府を怒らせるリスクを冒してはいけないとアスリートに訴えた。

 ミット・ロムニー上院議員(共和党)は、米紙ワシントンポストのオンラインシンポジウムで、「中国の法律は、中共に対するいかなる批判も禁じている。身の安全のために、アスリートは中国の法律を遵守しなければならないのに、そのような立場に置かれるのは言語道断」「IOCに権威主義的な国で競技をさせ、五輪を彼らのプロパガンダのプラットフォームとして利用させてはならぬ、同時にアスリートの言論の自由を脅かすことは許されない。これは二度と起こってはいけない」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)