ショートビデオを運営しているTikTokは15日、コンテンツを充実させるために、テンセントのクリエイティブ・プラットフォームから一部の動画共有を受け入れることを発表した。テンセントも、準拠した著作権のあるコンテンツをTikTokに徐々に開放する準備を進めていると発表した。これは2社の自主性が失われ、中国共産党(以下、中共)の「国進民退」(注)の改革の一部に成り下がったことを示しているのではないかと業界では考えている。

 中国メディアは、この動きは、中共工業情報化部が両社の相互接続を求めたことによるものだと報じた。

 テンセントとTikTokは長年にわたり、著作権をめぐって競合してきたが、中国公式メディア新華社通信傘下のメディアである「中国証券報」によると、両社が激しいライバル関係を和解させつつあるという。テンセントとアリババも最近、多くの分野で相互接続をすることを発表し、長年の苦しいライバル関係に終止符を打った。

 評論家の何旭(か・きょく)氏は希望之声とのインタビューで、中共当局は表立っても裏でも、民間大手企業を侵食しており、アリババ、テンセント、TikTokのような企業が真っ先に矢先を向けられる。中共が企業を掌握した今、過剰な市場競争はもはや必要ない。今後、大手企業は中共当局の指示通りに従うだけで、非公有制の所有権は名目上存在しなくなっている。 このような企業は、中国市場に活力をもたらさず、結局は国営企業のようになってしまい、経済の将来に計り知れないダメージを与えることになる。

 注1:国進民退(こくしんみんたい)は、中華人民共和国において、2000年代よりみられる、国有経済の増強と民有経済の縮小という現象である。1990年代の「国退民進」の現象と対称をなす現象である。

(翻訳・吉原木子)