香港崇光百貨(Macokeninealsm, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 香港の子供服ブランドチェーン店「チッキーダック」は18日、2022年後半に香港市場から全面撤退することを発表した。ブランドの創始者である周小龍(ハーバート・チョウ)氏は、この1年半の間に、中国共産党から様々の圧力を受けたため、撤退を余儀なくされた。しかし、「香港人のブランド」という立場を守り続けると強調した。

 チョウ氏は、「逃亡犯罪条例」改正案反対デモの際に様々な形で抗議運動に参加していた。香港版国家安全維持法が施行された後も、実際の行動で率直に時事問題を批判してきた。また、香港人の企業として、社会正義に対して香港や国際社会の注目を集めていくとの声明を発表した。しかし、それを発表した後、会社の事業は悪質な勢力によって絶えず妨害されてきた。

 昨年6月以降、チッキーダック社は民主主義の女神像を多くの支店舗に設置し、何度も撤去を求められていた。

 今年5月、裁判所の令状を持った国家安全局の数十人の警察官が、荃湾店を捜索した。情報筋によると、この行動は主に、支店の外壁に刻まれた「香港を取り戻せ、時代の革命だ(光復香港,時代革命)」という文字の落書きを狙ったものであったという。

 今年10月に開催されたスタンダード・チャータード香港国際マラソンでは、「香港加油(香港頑張れ)」というスローガンを縦書きの「香港」と横書きの「加油(頑張れ)」で印刷したジャージを販売した。その後、上記の言葉が入ったジャージは、イベント主催者によって禁止された。

 過去の1年半の間に、中国のメーカーが国家安全局に出荷を阻止されたことや、会社の同僚が尾行されたことを含め、複数の中国老舗メーカーは様々な形で圧力をかけられた。中国の警察署は工場を訪れて同社向けの生産をさせないようにした。悪質な勢力は海外の生産メーカーにまで圧力をかけ影響を及ぼしてきた。

 また、香港の複数の店舗が悪質な勢力の圧力によって、リース契約の更新を拒否されたり、早期にリース契約を終了するよう要求されたりしていた。国家安全局、警察、国土交通省、食品環境衛生局、消防局、税関などに悪意のある通報がなされていた。店舗のリースはたびたび妨害され、同僚は尾行されたうえ、顔に泥を塗られた。毎月数百件の悪質な電話がかかってきていた。

 「この1年半の間に未知の邪悪な勢力などによる未曾有の嫌がらせを受けてきたが、会社は世界的な価値観である『正義』への堅持を捨てたことはなかった。今後も妥協することはない。しかし、より賢く、より永続的で強力な方向性を考えている」と、チョウ社長は述べた。

 「チッキーダックが未知の勢力と戦い続け、時間、エネルギー、資本を浪費し、同僚や協力アーティスト、地元ブランドを危険にさらすよりも、香港ブランドとして『前進するためにはまず後退して』香港から撤退し、長く苦しい道のりを経て他の市場に進出し、香港の人々に希望を与え続けるほうが良い」と言い添えた。

(翻訳・徳永木里子)