世界の大陸間光海底ファイバケーブル。KDDI提供(鶴田雅彦, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 日本、米国、オーストラリアは12日、太平洋島諸国のナウルとキリバス、ミクロネシア連邦でインターネットの接続を改善するため、これら3カ国を海底ケーブルで結ぶ事業に資金支援すると発表した。インド太平洋地域で台頭する中国に対抗し、地域開発を支援する狙いだ。 

 日本、米国、オーストラリアは12日の共同声明で、ナウル、キリバス、ミクロネシア連邦に高速なインターネットアクセスを提供するため、海底ケーブルを開発すると発表した。新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の深刻な影響から回復しつつある太平洋島嶼3国にとって、海底ケーブル建設の支援は、経済の繁栄、雇用の創出、生活水準の向上に役立つものである。

 今年6月、この事業は世界銀行主導で進められ、太平洋の海底ケーブル建設の入札を募集していた。しかし、中国企業が入札を通じて事業に参加すれば安全保障上の脅威になると米国が警告し、ナウルをはじめとする島嶼国も中国企業が入札すれば、自国の安全保障に影響を与えると世界銀行に懸念を示したため、事業はこう着状態に陥ったと報じられていた。 

 事業では太平洋3カ国を結ぶ海底ケーブルを新たに敷設し、既存のケーブルと接続させる。しかし、共同出資の具体的な支援額は明らかにしていない。この海底ケーブル開発事業は、西側同盟国が太平洋地域の通信分野に投資する最新の取り組みである。

 海底ケーブルとは、国や地域の間で通信や電力の伝送を行うために、絶縁体で包まれた電線を海底深くに敷設したものである。国際通信の99%は海底ケーブルで行われており、国際通信量の増加に伴い、海底ケーブルの増設が求められている。NECによると、最新の海底ケーブルシステムでは、1秒間に約1万枚のDVDのデータ量を伝送できるという。

(翻訳・藍彧)