豪州アボット元首相(Nick-D, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons) 

 オーストラリアのトニー・アボット元首相は、10月29日に米国のシンクタンクである「ウィルソンセンター」のオンラインイベントで、中国共産党(以下、中共)が「まもなく」台湾を封鎖、あるいは本格的な侵攻を行う可能性があると考えており、台湾海峡の情勢は非常に緊迫しており、何年も何十年以内にも何も起こらないと想定すべきではないと警告した。

 アボット氏は、自分もかつて中共に対して楽観的な考えを持っており、習近平総書記が2014年にオーストラリア議会で、2050年までに民主主義を実現すると約束したことをプラス的に見ていたが、近年の習氏の行動がアボットの見方を変えたと認めた。

 アボット氏は、2013年から2015年にかけてオーストラリアの首相を務め、ちょうど習氏の1期目の任期と重なっていた。

 習氏が台湾問題を水のように、「水温を高くするが沸騰させない」としており、なぜなら、台湾を犯すリスクが高すぎるからと、考える専門家もいる。アボット氏は、冒険は習氏の好みに合っており、香港の「一国二制度」協定を破った時も多くのリスクを犯したが、大きな反発に遭っておらず、国際社会から制裁を受けた中共幹部すらいなかったとし、西側諸国の温和な反応がかえって中共の励ましとなり、台湾を犯すリスクを高めていると反論した。

 香港と違って、台湾は反撃するでしょうが、やはり外からの支援が必要である。アボット氏は民主主義諸国に、「想像しがたいこと」への備えを呼びかけた。おそらく近い将来、中共は、台湾を封鎖したり、あるいは全面的な侵略を行ったりして、事態を拡大する可能性があると考えている。

 状況は「それだけ切迫している」と考えており、外部の世界は、何年も何十年も台湾海峡で何も起こらないと考えるべきではないと同氏が強調した。

 中共を抑止するために何をすべきかについて、アボット氏は、中共が台湾に対する行動をエスカレートさせた場合、米国、日本、オーストラリア、その他の世界の民主主義国は、軍事的、経済的にどのように対応すべきかを考え始めるべきだと述べた。「台湾に対するいかなる行動も、最も深刻な結果をもたらすことを中国に認識させなければならない」

 中共が台湾に嫌がらせをするために高強度の軍事飛行を繰り返している最中の10月初めに、アボット氏は個人名義で台湾を訪問した。

 当時、台北玉山フォーラムに出席した彼は、「世界のどこにも、台湾海峡両岸ほど自由と専制の闘いが激しい場所はない」と述べ、台湾海峡両岸の緊張は中国の「好戦的な態度」によるものだと批判した。「今、台湾を応援することより緊急を要するものはない」とも警告した。

(翻訳・吉原木子)