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 公表されているデータによると、過去5年間で2万社以上の外資系企業が中国からの撤退を表明し、中国で複数の分野で失業の波を引き起こしている。今週から、大量の若者が公務員試験に参加し、1つの求人に数千人が殺到する場面が現れている。

 公開情報によると、チベット自治区ガリ地区にある郵便局の一般職員職に5,000人が応募しており、応募締め切りの数日前に2,700人以上が審査合格したという。

 当局の発表によると、21日午後時点で、公務員の求人に応募した人は102万5,000人を超え、昨年の同期比20万人増加した。

 これに対して、一部のアナリストは、この状況は雇用市場の「内巻き(注1)」化や悪質な競争が深刻になっていることを示しており、多くの人が公務員試験を通して苦境から抜け出すことを望んでいると分析した。かつては「自営業創業が人生の最高な理想」と言われた浙江省でも、今年は公務員志願者の比率が1対65というかつてない比率に達した。

 清華大学社会科学部の孫立平教授は、中国が現在直面している失業問題は深刻で、その背後にはさまざまな原因があると指摘した。不動産業界が不況に陥り、中小企業が新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行で倒産し、失業を引き起こしているほか、教育分野で「双減(そうげん)注2」政策により、1,000万人の雇用に影響が出ている。また、外資系企業がベトナムなどに移転し、多くの雇用を失ったことも一因である。

 注1、「内巻き」は、もともとは社会学用語で、社会や組織が一定の段階に発展した後、停滞して刷新せず、低水準のままでいるだけのことを指す。現在は主に金融業界や教育分野で使われ、チャンスや良質な資源が少ないため、ますます多くの人が不必要な内部競争に巻き込まれることを指す。

 注2、「双減」とは、小中学生の宿題を減らし、学習塾などの学校外教育の負担を軽減するというものだ。

(翻訳・徳永木里子)