(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国恒大グループの債務危機が債券市場まで飛び火し、9月の新興国市場への資金流入は増加し、流入額は6月以来の高水準となった。

 国際金融協会(IIF) のデータによると、中国不動産大手・中国恒大集団の債務問題が懸念され、中国の債券からの流出額は9月に81億ドル(約9000億円)で、今年3月以来最大となった。9月の新興市場への流入額は298億ドル(約3.328兆円)。

 IIFのエコノミストであるジョナサン・フォーチュン氏は、外資が中国債券市場から撤退する一部の原因は、不動産開発会社の恒大グループが引き起こした危機がまだ続いており、関連問題が中国経済にまで影響を及ぼす可能性があるため、と報告書で指摘した。

 中国のもう一つの不動産開発会社であるファンタジア・ホールディングス・グループ(花様年控股集団)は5日、2億600万ドル(約229億円)の債務を期限内に返済できなかった。債務不履行に陥った最新の不動産会社となり、圧力が不動産業界全体に広がっていることを示している。また、世界的な評価機関による格付けの引き下げもあり、投資家は不安を募らせている。

 調査会社パンテオン・マクロエコノミクスの首席エコノミストであるクレイグ・ボサム氏は、「ファンタジア・ホールディングス・グループの債務不履行について、恒大の資産の一部を断片的に救済したにもかかわらず、不動産市場の圧力が依然として高いレベルにあることを明確に示している」と述べた。

 『南ドイツ新聞』紙は、中国共産党政権が10年以上も借金に頼って経済成長を続けており、今の恒大グループの財務危機は混沌の始まりとなる可能性があるという中国駐在ジャーナリストの評論を掲載した。

 同評論によると、「中国の富の60%が不動産にあるのに対し、米国では25%である。恒大グループの倒産がパニック的な売りを誘発すれば、それに伴う不動産市場の崩壊は深刻な結果を招くことになり、政治レベルまで波及する可能性がある」と指摘した。

(翻訳・吉原木子)