米国貿易代表キャサリン・タイ(パブリック・ドメイン)

 米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、4日の首都ワシントンでの講演で対中通商政策について、米国の対中貿易の4つの戦略を発表した。中国との閣僚級貿易協議を数日内に再開させ、不公正な経済慣行の是正を求めると表明し、「率直な対話」を目指すと強調した。

 同日、トランプ政権のように、中国共産党(以下、中共)の貿易行為に対して調査を行って、中国製品に対して追加関税を課すことを考えているかと聞かれたタイ代表は、「これは、グローバルな貿易規範に従わないことで、米国やその他の国の繁栄を長年にわたって損なってきた、米中の再接近に対する中共の反応による」と答えた。

 同氏は、中国に対する4つの貿易政策を発表した。

 1、米中貿易協定の「第一段階合意」を再検討し、北京が署名した公約を守る必要性を強調する。

 2、対象となる関税の除外プロセスを開始するが、将来的に関税の除外項目を追加する可能性も排除しない。

 3、中共の劉鶴通商代表と直接連絡を取り、貿易協定の「第一段階合意」における中国のコミットメントについて話し合う。

 4、米国は同盟国や志を同じくするパートナーと協力し、公正で健全な競争力のある国際貿易システムを構築し、バイデン政権の対中貿易政策は、米国の行動に対する中共の反応に応じて、いつでも調整される。

 中共に圧力をかけ、半導体や鉄鋼など、米国企業を損うと思われる数十億ドル相当の国家補助金を停止させるために、米政府はあらゆる選択肢を保留しておくだろうと、タイ氏が述べた。

 米政府関係者は、米国が収集したデータによると、北京は貿易協定の「第一段階合意」の一部を遵守していないため、米国は関税などの使える貿易執行手段を放棄しないという。

 米国政府関係者によると、タイ氏が中国側と直接接触するのは、貿易協定の「第一段階合意」に焦点を当てることになるという。劉鶴には、中国の産業政策が米国の労働者や企業に損害を与えていることを懸念していることを明確にし、米国はあらゆる手段を使って、米国の労働者、生産者、そして全体の経済利益を中共が指導する産業政策から守るということを改めて表明する。しかし、米中貿易は、貿易協定交渉の第二段階を開始しようとはしない。

(翻訳・徳永木里子)