中国共産党総書記習近平(Kremlin.ru, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)政権は最近、中国の若者の考えをコントロールするために、様々な対策を講じている。「習近平思想」が必修科目になったことは、中共が中国の子供たちの思想を支配する新たな試みである。

 中共は自らの支配力を強化するために、ずかずかと若者の日常生活に踏み込んでいる。中国の教科書は、社会主義という議題から一度も逸脱したことがない。秋学期の始まりとともに、生徒たちは授業で新しい科目「習近平思想」を勉強し始めた。

 学校を卒業した人は、習氏の忠実な信奉者でなければならない。「習思想」の授業では、中国の子供達の独立した思考能力が抹殺される。

 習近平氏はこのような形で中共を救おうとしている。なぜなら、中共は若年層への影響力が年々弱くなっていることに、不安を募らせている。その結果、塾など学校外の教育部門や技術部門の閉鎖など、若者に影響を与えるあらゆる分野を取り締まり、政府の監督下にある学校を唯一の教育源にしようとしている。

 「習近平思想」とは?

 政府が監修した新しい教科書は、子供たちの心に共産主義を植え付けようとする中共の新たな試みである。学校の教師には、「若者の心に党と国と社会主義への愛の種を蒔く」ことが求められている。

 「道徳的、知的、身体的、美的にバランスよく発達し、勤勉と忍耐の精神を持った社会主義の建設者と後継者を育成するためには、習近平の『新時代の中国の特色ある社会主義』で学生の頭脳を武装させなければならない」と、中共の宣伝機関が報じていた。

 教科書には「習近平じいちゃんは仕事がとても忙しい。しかし、どんなに忙しくても私たちの活動に参加して、私たちの成長に関心を持ってくれている」と書かれている。

 若者をコントロールしようとするその他の措置

 1、英語教育に対する抑制

 上海市教育委員会は先日、2021年の小中学校のカリキュラムを発表し、小学校の試験から英語を排除することを明らかにした。これは、中共が英語が自身に反抗する強力な武器であり、脅威に感じていることを示している。インターネット上に存在する反中共的な内容の多くは英語で書かれており、中共にとっては厄介な存在である。また、英語の授業時間や英語教員の人数を減らすことで、中国の学生と外界とのコミュニケーションを遮ることができると考えている。

 2、オンラインゲームに対する取り締まり

 このほど、ゲームの分野において、18歳未満のオンラインゲーマーは、平日にゲームをすることが禁止され、週末には3時間しかプレイできないと規制されている。その理由は、ゲームの中で中共の監視から外れた交流が行われることを中共が恐れていることが挙げられる。

 3、有名人や芸能界に対する取り締まり

 中国のウェイボー(微博、Weibo)では、8月にオンラインコミュニティの「浄化」を目的とした一連の措置が取られた。国家主権と領土保全を害するもの、民族的憎悪と差別を煽るもの、烈士への侮辱・誹謗中傷、不法集会の扇動、社会秩序の維持に有害な情報の公開といった罪名で、約150人の著名人のアカウントが封鎖された。

 中国では習氏だけが影響を与え、人々を支配することが許されている。学校の教科書に「習近平思想」を押し付けていることからもわかるように、中共は若者へのコントロールを失うことを恐れている。

 中国の若者は、水面下で「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」運動を組織している。 これは中共の専制政治を打倒する可能性のある大規模な若者主導の反中共運動である。これを阻止し、先取りするために、中共は中国の若者の思考能力を奪おうとしている。

(翻訳・藍彧)