海南航空(N509FZ, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 財務危機に陥った海南航空(HNA、以下、海航)は24日、ウィーチャットの公式アカウントで、同社の董事長(取締役社長に相当)と最高経営責任者(CEO)がともに犯罪容疑で公安当局に連行されたと発表した。このニュースは瞬く間に話題となった。多くの情報源は、海航は中国共産党(以下、中共)の集団金庫であることを示唆している。海航の破産・再編と上層部の逮捕は、習近平氏が権力者らの財布を一掃するために行った一連の行動の一環であるという。

 海航は、「董事長の陳峰(ちん・ほう)と譚向東(たん・こうとう)最高経営責任者は、違法犯罪の疑いがあるとして、法律に基づいて強制的な処置を受けた」と発表したが、犯罪内容などには一切触れていなかった。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は先週、中国当局の各大手企業に対して行った一連の規制措置は、習近平氏の中央弁公庁から各省庁・委員会への政策調整のための直接指示であると報じた。この情報が事実であれば、海航と恒大の再編は、全て習近平氏が中央弁公庁を通じて、直接コントロールしていることを意味する。すなわち、王岐山(おう・きざん)氏の個人的な最高財務責任者に相当する陳峰氏の逮捕は、習近平氏が自ら決断したということである。

 海航事件は王岐山氏だけでなく、他の権力者の家族も関わっている。元北京大学教授で現在は米国在住の夏業良(か・ぎょうりょう)氏は、今年8月に海外メディアで、「多くの情報筋によると、海航グループは中共上層部の集団金庫であり、江沢民の孫である江志成(こう・しせい)氏をはじめ、多くの中共の有力な一族が海航グループの株を保有している」と明らかにした。また、一部の政治評論家は、海航の破産と再編、及び陳峰氏の逮捕は、習近平氏が江沢民派の権力者の財布を一掃するための一連の行動の一環であると指摘した。

 ある政治評論家は、「習近平が第20回全国代表大会で再選できるために、陳峰の事件を利用して、それに関係した中共の元老たちに自分の再選を支持する態度を取らせ、それを弱みにして元老たちが黙るように迫った。中共の体制下では、民間の企業家は皆、財を成すのに問題を抱えており、金と権力の取引、金と性的な取引をしなければ、成功して金を稼ぐことは基本的に不可能である。企業家と役人の結託は、必ずやその痕跡を残すことになる。派閥争いが白熱化してきた時、中の一人だけ調査して処罰すれば、ほかを抑制できる」と指摘した。

(翻訳・吉原木子)