中国・陝西省安康市鎮坪県上流の安康ダム(ネット写真)

 中国・陝西省安康市鎮坪県(ちんへいけん)は19日午前4時頃、大洪水に見舞われ、公式メディアは「100年に一度の大洪水」と表現した。しかし、鎮坪県周辺の降雨量はわずか100ミリに過ぎなかった。上流の主要なダムはいずれも警戒水位を超えている状態にあり、水位は少しずつ上がってきたのではなく、急に警戒水位を超えた。当局はまた、真夜中に秘かに貯水池の洪水を放水したのではないかと疑問を呈している。

 地元メディアの報道によると、19日、陝西省安康市鎮坪県の都市部にある南江河区間では、最高水位が883メートルを超え、最大流量が毎秒2,000立方メートルを超えたという。

 公式メディアによると、上流の主要な2つのダム、安康ダムと石泉ダムは両方とも洪水の警戒水位を超えて稼動しているという。安康ダムの水位は326.47メートルで、警戒水位より1.47メートル超え、流入量は毎秒11,308立方メートル、流出量は毎秒7,748立方メートルに達していた。石泉ダムの水位は407.3メートルで、警戒水位より2.3メートル超え、流入量は毎秒5,000立方メートル、流出量は毎秒4,600立方メートルに達していた。

 投稿された動画では、夜になって鎮坪県で洪水が発生し、川の堤防を越え、町や村まで浸水している様子が映っている。同県都市部の多くの場所の積水は1.5メートルを超えた。多くの道路が洪水で壊され、交通が中断された。道路が川になっていて、川と道路の見分けがつかなくなっている。車やショベルカーまでも川に流された。低地にある家屋が浸水し、さらに多くの家屋が洪水に流された。

 ネットユーザーから疑問の声が上がった。「通常の洪水であれば、急に発生することはなく、水位がゆっくりと上昇し、水たまりもゆっくり形成するはずだ。今回の洪水は真夜中に突然やってきて、多くの道路や、町・村の家屋が浸水し、流された。しかし、当局は事前に洪水警報をまったく発表していなかった。上流の安康ダムや石泉ダムが危機に瀕しているため、下流の人々に事前に知らせずに、秘かに全力で放水した可能性が高い」

(翻訳・徳永木里子)