北朝鮮は15日、再び2発の弾道ミサイルを発射した。これは1週間以内の2回目の発射となり、平壌当局が米国に交渉のテーブルに戻るように外交的圧力をかけようとしていると、外界が分析した。

 韓国軍関係者によると、2発のミサイルは15日正午に北朝鮮の中部から発射され、東海岸沖の海に墜落したという。

 防衛省によると、ミサイルは日本の日本海側排他的経済水域(EEZ)内に落下した。高さ最高50キロ以下の低空飛行、変則軌道で約750キロ移動したと推定されている。一方で、朝鮮中央通信(KCNA)は、今回発射した巡航ミサイルは約1,500キロを移動し、「この射程は、同地域にあるすべての日米軍事施設をカバーするのに十分だ」と主張した。

 今回のミサイル発射は、北朝鮮問題担当のソン・キム米特別代表の東京訪問と重なっていた。ソン・キム氏は14日、米国は前提条件を設けず、北朝鮮との協議を再開する意思があると述べた。 また、「非核化交渉に進展があるかどうかにかかわらず、米国は、人道的な問題について北朝鮮と一緒に対処する準備ができている」と述べた。

 2019年2月28日にベトナムのハノイで行われた、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記と米国のトランプ前大統領との首脳会談が不首尾に終わって以来、核協議は膠着状態にある。北朝鮮が1週間以内に2回のミサイル発射を行ったことは、米朝核協議の行き詰まりを打開し、バイデン政権に圧力をかけ、対米交渉での影響力を高める狙いがあると、アナリストが分析した。

 今年6月、キム・ジョンウン氏は、北朝鮮が米国と対話と対立の両方の準備ができていると述べ、その直後に韓国との交流を一時的に再開した。しかし、韓国と米国が合同軍事演習を実施したことを、北朝鮮への挑発とみなしたため、通信回線を切断した。

 また、北朝鮮は今年のほとんどがコロナの流行や食糧不足などの国内問題に悩まされているため、キム氏は経済的・外交的な孤立が続くのを避けるために、しばらく大きな挑発行為を自制するのではないかと、一部のアナリストは考えている。

(翻訳・徳永木里子)