ドイツ人ジャーナリスト(ツイッター動画のスクリーンショット)

 ドイツ人ジャーナリストの取材チームがこのほど、河南省鄭州市で発生した洪水とその被害状況を取材していた際、一部の市民によって包囲・妨害され、関連状況が注目を集めている。

 ドイチェ・ヴェレ社(DW)の北京特派員であるマティアス・ベリンガー氏の取材チームが、鄭州市の街頭で水害の様子を生中継で伝えていたところ、鄭州市の市民たちが取り囲んできて、「中国を悪者にしている」と言って、ベリンガー氏を強く糾弾した後、警察を呼んだ。同行した中国人通訳は、事件後、ネット上で小粉紅(注1)に人肉検索(注2)され、暴言を浴びせられた。

 DWの記者以外にも、BBC、CNNなどの中国特派員も河南省の街中で取材していた際、一部の市民に妨害された。中国メディアは、これらの人々は自発的な行為であると主張したが、中国共産党当局が意図的に手配した可能性があると疑う人もいる。

 あるネットユーザーは、「ドイチェ・ヴェレ社 のベリンガー氏の報道を見たことがある。取材レポートはプロフェッショナルで、当局の要求に沿ったものであった。今回、ジャーナリストが路上で包囲され暴徒化したのが、文化大革命の雰囲気を強く感じさせるものだった」と投稿した。

 注1:小粉紅(しょうふんこう、シャオフェンホン)とは、中国語では「ピンクちゃん」に等しく、「未熟な共産主義者」であるという意味で使われている。

 注2:人肉検索(じんにくけんさく)とは、中国をはじめとする中国語圏のインターネット上において行われている活動。多数の匿名人物間でやりとりを行いながら、検索エンジンによる検索など、ある人物の名前や所属を特定すること。

(翻訳・吉原木子)