(出典:神韻ホームページより)

 中国は複数の民族から構成される多民族国家です。漢族以外に55の少数民族が存在し、中国各地に分布しています。55の少数民族は、みな長い歴史を持ち、それぞれの服飾文化を発展させてきました。華麗で独特な飾り物と被り物には、様々な工夫がなされ、精巧に施されています。今回は、3つの少数民族の被り物を重点に、服飾文化を簡潔に紹介していきます。

 彝(イ)族

 中国の南西部の雲南省、貴州省、四川省などに分布し、少数民族の中でも比較的人口が多いイ族。長い歴史を持つイ族は、多くの支系から発展していく過程で、それぞれ造り上げた服飾と文化が存在します。その中で、「涼山」地区のスタイルが次第にイ族の代表的なスタイルになっています。神韻芸術団の演目に、イ族の民族舞踊で、涼山地区の服飾が採用されました。

 涼山イ族の男性は、長めの黒い布で頭を包み、布の端を錐状に巻き上げる「英雄髻(えいゆうたぶさ)」をするのが典型的です。涼山イ族の女性は、美しい刺繍が施された四角い布を頭に付けて、長い弁髪で固定します。

彝(イ)族(出典:神韻ホームページより)

 イ族の独特な服飾文化を紹介するにあたって、被り物よりも目立つイ族女性の美しいプリーツスカートなしでは語れません。このイ族の象徴ともいえる色鮮やかなスカートは、段違いに他の色の布をつなげたフレアデザインでありながら、膝から下はプリーツを入れています。プリーツが多いほど高級とみなされています。神韻芸術団の公演でも、イ族の美しい衣装で身を纏った少女たちを演出する、古典舞踊を鑑賞することができます。

 チベット族

 チベット族の信仰はチベット仏教です。チベット高原に定住し、悠久なる歴史と燦々たる文化を持つ民族です。そんなチベット族の人々は、老若男女問わず、チベット族特有の帽子を被ることを好みます。現代においても、チベット帽子は20種類以上あり、それぞれ素材と形が異なります。

 チベット族の代表的な被り物は、カム地区で生活しているチベット族の被り物でしょう。女性は、長い髪を数十本から百本近くの細い三つ編みをし、それらを一本のピッグテールにし、琥珀、サンゴ、メノウやターコイズを使って髪を飾ります。

チベット族(出典:神韻ホームページより)

 伝統的なチベット族男性は髪の毛を長く伸ばします。その中に、カム地区のチベット族男性は、長い髪をヤクの髪とあわせて編んで、一本の三つ編みにします。神韻芸術団の公演では、チベット族の衣装で身を纏い、チベット太鼓を叩く男子たちがお届けする、チベット族の民族舞踊での演出があり、チベット太鼓の鼓動を楽しむことができます。

 苗(ミャオ)族

 ミャオ族は少数民族の中でも人口が多く、中国南部地区に分布しています。ミャオ族の女性は銀飾をこよなく愛します。神韻芸術団の公演をご覧になった方は、ステージの幕が開く前にシャリシャリという爽やかな音が聞こえてきた記憶がありますでしょう。あの音が今ご紹介の銀飾の音なのです。

 ミャオ族女性の銀飾は、種類がとても豊富です。被り物だけで、銀の冠、扇、簪、櫛、鎖、首輪、花の形をする被り物等々があります。女性たちは普段、髪を髻にして、銀の花や櫛をさします。また盛装をする時、女性は銀の冠を始めとする10キログラム以上のアクセサリーを身に付けます。

苗(ミャオ)族(出典:神韻ホームページより)

 華やかなミャオ族女性とは正反対に、ミャオ族の男性は質素で、一部の地域を除き、頭巾だけを被ります。

 いかがでしょうか。中国の3つの少数民族の被り物をご紹介させて頂きました。あなたのお好きなスタイルがおありでしたか。神韻芸術団のホームページにある『神韻百科』のコラムでも、多くの中国の少数民族の服飾文化が紹介されています。そちらもぜひご覧になってください。

(文・林育文/翻訳編集・常夏)