(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国共産党(以下、中共)が創立されてから100年が経ちました。本日は、中共の創立から100年後の先のことについてお話ししましょう。中共がどのような分野で突発的な問題を起こし、崩壊を加速させる可能性があるかと尋ねた方がいます。

 実際、中共がいつ崩壊しようと、20日後であろうと20年後であろうと、その瞬間が来れば、大多数の人にとっては突然であり、強い意外性を持つことになるでしょう。なぜなら、危機を考えようとする人、危機感を持てる人の数は、全人口のごく一部に過ぎないからです。この可能性を真剣に考え、それに備えようとする人はさらに少くないです。ほとんどの人はどんな状態でしょうか?流れに身を任せ、習慣に支配されている状態です。明日も今日と同じようにずっと続くだろうと思っています。

 中共の将来を予測することは、地震を予測するようなもので、その構造からしか予測できません。例えば、北米大陸の西部は、サンアンドレアス断層という数十年に一度強い地震が発生する地帯にありますが、ここ数十年は大きな地震が発生していないため、地質学者は非常に心配しており、災害に備えるよう警告しています。この地表の下にある岩石の圧力は、常に積雪の中にあります。断裂が発生した瞬間は、その圧力が解放された時です。その瞬間がいつ来るのかについては、現在の技術ではせいぜい1~2の事前警告しかできません。逃げるための時間をほんの少しだけしか稼げません。それ以上の予測はできません。専門家は、ここ数年、この場所はとても危険だから、気をつけなさいとしか言えないし、過去のデータを分析し、この地層の構造分析をして確率を出すことしかできません。

 中共にも同じように、当てはめて予測します。では、中国社会のサンアンドリアス断層はどこにありますか。2017年にこの番組を始めてから、私は不動産と若者の失業という2つの問題についてよく繰り返しています。中国の都市住民の財産は、今や住宅に大きく集中しており、大きくて崩壊してはならない問題となっています。中国の都市住民、特に大都市の住民にとっては、住宅はとっくに紙上の富になっています。持ち家を売って別の家を買うことはできませんよね。欧米の中流家庭では、子供たちが成人して家を出た後、通常、親は大きな家を売って小さな家に住み替え、老後を過ごすことが多いのです。

 しかし、このようなことは、中国社会では極めて起こりにくいのです。なぜなら、中国の多くの人々がマンションに住んでいるため、家の面積はもともと狭くて、六、七十平米ぐらいです。大都市の家を売って、小さな都市に引っ越さない限り、それ以上縮小できる余地はありません。また、大都市の住民に住み替える考えを持っている人はほぼいません。さらに、持ち家が中国人にとって主な財産であることを誰もが知っており、その家を子供たちの遺産として残しておきたいと考えています。そのため、持ち家の価値が上がると、喜ぶだけですが、その財産の所有感は、人々にとって非常に重要です。いったん、その不動産が崩壊して住宅価格が急落すれば、都市の住民にとって紙上の富は一掃されてしまうことになります。それは社会的信頼に壊滅的な影響を与えます。

 若者の失業に関する部分は、皆さんは気づいていませんか?実は、若者事業の成果はずっと前から明らかにされていたのですが、デモ運動のように激しく顕在化しなかっただけなのです。「躺平(タンピン)」主義の台頭や、今年起きた独立学院を職業大学に変更されたことによる学生の抗議デモ活動などは、実は若者の失業に対する曲折的な反映なのです。「タンピン」は、就職水準の低さをそのまま反映しており、この低さは相対的な低さであります。つまり、住宅価格・結婚費用・育児費用の高さが若者たちに恐怖感を与えているのです。彼らの収入はこれらの目標を達成するのに十分ではないので、努力しても無意味になり、いっそうあきらめて、欲望やプレッシャーのないシンプルな生活をしています。つまり、それは若年層の就職水準や所得水準が相対的に低いことを反映しています。一般的に若者の就職が少ないことは、大量の失業を伴っています。

 一方、独立系大学から職業大学に変更された学生は、職業大学に変更された後の就職活動が困難になることを心配して抗議していました。研究生試験、公務員試験は、職業大学の学歴では認められません。実は、これも若者の高い失業率を反映しています。そのため、政府がこの道を絶とうとすると、学生たちは政府に対抗することになります。ただ、中国での若者の失業が、中東のような激しいデモ運動となっていないだけです。しかし、反応がある以上、形を変えただけの反応であれば、結果がないわけではありません。ですから、政府がこの問題を解決しなければ、どんどん悪化し、新たな紛争を生むことになります。

 また、別の友人からは、「中国の高齢化については何度か話したことがあるが、この高齢化が原因で、中共に大きな打撃を与えるような、何か突発的な事件出来事が起こるのでしょうか?」と聞く方もいます。

 人口構造は非常に根深い社会問題であり、社会の生活のあらゆる側面を変え続けることになるでしょう。高齢化問題で、街に出て不満をぶつけるようなデモ進行に直結すると思いますか? その可能性が全くないとは言えませんが、可能性は非常に低いと思います。しかし、一人っ子政策により、上には親の世話、下には子供の世話があって、負担はますます重くなっていきます。中国人口構造の変化は、消費の縮小につながり、この傾向は避けられません。そして、一度この人口構造の傾向が形成されると、その結果は非常に安定しており、何十年もの時間をかけないと変えることができません。消費の縮小は、社会のあらゆる面で対立を悪化させます。そうなると、もうマグマが地殻のどこから噴出するのか誰にもわかりません。

 では、高齢化に非常に直結した社会的葛藤はあるのでしょうか? 実はあります。それは、年金基金の赤字であり、年金を受け取る人が増え、より長い期間、より長い年数、年金を受け取ることになり、当然、将来の年金の支払いが困難になるからです。2019年4月、中国社会科学院は、中国の年金基金が2023年からマイナス成長に転じ、2035年にはそれまでに積み立てた残高がすべて枯渇し、年金基金が赤字になると警告する報告書を発表しました。この報告書は、退職を遅らせることの緊急性を主張するためのものです。今は、当局はそうすることしかないようです。ただし、当局は今、別の問題を抱えています。つまり、雇用の確保と退職の間には、長期的な利益を犠牲にすることしかないのです。当面の難点は、新型コロナが猛威を振るっていた2年間、民間企業は苦境に立たされ、失業者を増やさないためにも一定の負担を軽減しなければならず、本来支払うべき社会保険が減額されることです。この程度の緩和では、民間企業を繁栄させるには不十分ですが、年金に影響を与えるには十分であり、その影響はいつか明らかになるでしょう。つまり、この年金不足の問題は、中国社会が直面している深刻な課題の一つなのです。

今日はここまでです、ご視聴ありがとうございました。

(「文昭談古論今(文昭が古今を語る)」チャンネルより転載)