(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 5月から数週間の間、数十億匹のセミが17年ぶりにアメリカ東部で大量発生しています。6月8日の夜、「ブルードX(Brood X)」と呼ばれるセミが、ホワイトハウス記者団のチャーター機のエンジンに侵入し、飛行機の出発を遅らせたという事件が発生しました。

 アメリカのバイデン大統領の初の海外訪問のために、数十人のジャーナリストは、ワシントンDCからヨーロッパへ、チャーター機で8日の夜出発する予定でした。しかし、デルタ航空が運航するこの飛行機は、翌日の早朝にようやく離陸することができたと、CBSニュースの報道で明らかになりました。同紙の取材に対し、デルタ航空の報道官であるクリスタル・ドレイク(Crystal Drake)さんは、「ブルードX」セミの発生により、フライトが実際に遅れたことを認めました。セミが飛行機のエンジンの中に入り、詰まってしまったため、慎重を期して出発を控えることにしたとも述べました。

 ワシントンD.C.は「ブルードX」が頻繁に発生する場所の一つで、17年に一度大量発生しています。今回は、「周期ゼミ」の中での第10世代のセミです。人間を噛んだり刺したりすることはありませんが、1匹のオスのセミが最大で90デシベル、1台のジューサーの作動に相当する求愛音を発します。このセミは異常な数で現れ、耳をつんざくような鳴き声を発することから、屋外での活動を中止せざるを得ないこともあります。

 この「周期ゼミ」が最後に大量発生したのは2004年、アメリカ東部の15もの州で目撃されました。このセミは、地下生活の17年間で休眠しているわけではなく、力をたくわえているのです。コネチカット大学の昆虫学者ジョン・クーリー(John Cooley)氏によると、セミは地下1〜2フィート(約30cm)のところに翼のない幼虫のような形で閉じこもり、木の根から樹液を吸いながら、17年間ひっそり生きていけるそうです。

(翻訳・玉竹)