「フォルカーク・ホイール」(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 ボートリフトは異なる標高にある水面間で船舶移動する装置であり、一般的には、垂直と斜面ボートリフトがあります。最も珍しいのは、スコットランドにある「フォルカーク・ホイール(Falkirk Wheel)」と呼ばれ、世界唯一の回転式ボートリフトです。

 「フォルカーク・ホイール」の名前は、近くの町の名前に由来しています。風光明媚なフォルカーク町は、スコットランドの魅力にあふれ、映画「ブレイブハート」の舞台にもなりました。

 なぜこのような特別なボートリフトが作られたのでしょうか。それはフォース・アンド・クライド運河とユニオン運河というスコットランドの2つの運河を接続するためです。この2つの運河の高低差は35メートルもあり、かつては11の閘門で接続されており、1回の通過で3500トンの水を汲み上げなければならず、すべての閘門を通過するのにほぼ1日かかっていました。1930年代からは使わなくなり、埋め立てられてしまいました。この2つの運河の輸送価値を維持するために、英国政府はミレニアム・コミッションなどの資金調達やスポンサーの支援を得て、「フォルカーク・ホイール」の設計・建設を開始しました。最終的なデザインは、ケルトの双頭斧(ラブリュス)、船のプロペラ、クジラの胸郭、魚の背骨を模した形をしています。プロジェクト全体の予算は7800万ポンドで、2002年5月に正式に就航しました。

 「フォルカーク・ホイール」の主要構造は直径35メートルのホイールであり、ダービーシャー州リプリーにあるバタリー・エンジニアリングによって組み立てられた後、2001年の夏に部品に分解され、35台のトラックでフォルカークに運ばれ、さらに設置されました。部品の疲労破壊を避けるため、溶接はせず、1.5万本以上のボルトと4.5万個のボルト穴を使って手作業で組み立てられていました。ホイールは、ケルトの双頭斧の形をした2本の腕が対向し、28メートルの間隔を置いて直径3.8メートルの中央の軸に取り付けられ、2つのケーソン(船舶を浮かべる水槽、ゴンドラ)はこれらの両端に取り付けられており、それぞれ500トンの水と船の重さを運ぶことができます。

 船舶移動の原理は、まず高い水面のボートを橋の水路に打ち込み、水路を閉じた後、ホイールの腕が動き始め、片方の腕がボートを持ち上げ、半回転させた後、もう片方の腕がボートを水面に送り出すというものです。ケーソンが腕にぶら下がって回転するには、ケーソン自身の重量があれば十分ですが、お互いにバランスよく回転するために、各ケーソンの回転フレームにある大きな歯車と腕の小さな公転する歯車、腕の中央にある大きな歯車の組み合わせによってコントロールされ、正しい速度で回転し、バランスを保っています。また、このホイールは4隻の大型船をわずか15分で吊り上げることができ、非常に効率的です。

 「フォルカーク・ホイール」をもっと知りたい方は、ユーチューブのビデオ「Falkirk Wheel」をご覧になってみてください。

(編集・玉竹)