四川外国語大学のキャンパス(Rbutz, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 重慶市の四川外国語大学は最近、「学生情報員」を内部募集している。学校側は、「採用された人が警察に責任を持ち、警察から報酬を得て、キャンパス内のセキュリティ関連情報を監視することが職務である」と公言した。このニュースは世間より注目を集めた。

 ラジオ・フリー・アジアによると、四川外国語大学は3月8日、各学部で「キャンパスの安全情報員」3人を募集する予定だという学校内の通知を発表した。通知には、上級公安機関の要求に基づき、キャンパスの安全に関する情報を収集・報告し、キャンパス内の政治的安定を維持する役割を担ってもらうことが記されている。また、同報道によると、同校はこれまで、各クラスに「情報担当者」を配置し、学生や教師の発言を監視していた疑いがあるという。

 同通知には、募集対象を2年生、3年生、大学院生1年生に限定することが明記されており、中国共産党党員、学生幹部、マイナー言語を話せる人、貧困者が望ましいことが強調されていた。 謝礼とボーナスは重慶市公安局が支給する。

 情報筋によると、キャンパス内でいわゆる「情報員制度」の拡大は、実際には学生の中に「密告者」を配置するためのものだったという。

 少数民族学生の状況に詳しい人関係者によると、近年は中国本土のキャンパスではアラビア語を話す学生が主流になっているという。これが、ウイグル人学生への監視強化と関連しているかどうかは確認できなかった。

 また、同校のマイナー言語学科の学生だった人によると、中国共産党の国家安全部が情報員を募集するために学校にやって来て、マイナー言語が重要な検討対象になっていると語った。同校は情報担当者を公募しているが、採用された者の身元は極秘にされる。

 これに対し、四川外国語大学は「メディアの取材を受ける前に、宣伝部の審査を受けなければならない」と主張し、回答を拒否した。

 実際、中国大学におけるイデオロギー統制は近年エスカレートしており、当局は学校に監視員を密かに配置し、授業中の教師の発言や学生の動向を監視している。2019年以降、少なくとも数十人の教職員が「情報員」の密告で教職を失った。

 例えば、2019年2月には、重慶師範大学の唐雲准教授は、授業中の発言が学生に告発されたため、教師の資格を取り消された。同年6月、成都電子科技大学の鄭文鋒准教授は「授業QQグループ」で言論を発表したため、学校側から「教師倫理の不正行為」として、2年間の教職停止処分を受けた。

 2020年2月、香港出身で中国社会科学院で教鞭を執る周佩儀氏は、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行に批判的な発言をした疑いがあったとして、学生からの告発により解雇された。ほぼ同時期に、もう一人の武漢大学の周玄毅准教授も、中国当局の疫病隠しに疑問を呈したため、学生から告発された。

 最も誇張されているのは、サンクスギビングデー(感謝祭)の日である2020年11月26日に、ハルビン工業大学の寮のおばさんが、気を利かせてキャンディを配って寮の学生にプレゼントしたが、欧米の「外国の祝日」を公然と祝ったとして、学生から通報すると脅された。

 海外メディアによると、中国本土では監視が徹底しているため、教授たちは教室内外での発言を「自己検閲」せざるを得なくなっているという。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・藍彧)