(イメージ / Rolf Müller ウィキペディア CC BY-SA 3.0

 宝帯橋は江蘇省蘇州市にあり、京杭大運河と澹台湖(タイタイコ)の間にある玳玳河の上に架かっています。この橋は船が呉淞口及び運河を通過する際の玄関口となり、昔では蘇州から杭州、嘉興、湖州等へ通じる肝心な陸路にもなっていました。

 宝帯橋は唐代元和十四年(819年)に建造が始まりました。蘇州の刺史・王仲舒は建設の際、宝帯(翡翠ベルト)を寄進したため、人々は彼を記念してこの橋を「宝帯橋」と名付けました。

蘇州第一の橋
 宝帯橋は大運河の畔にあり、山と川に囲まれた美しい景色の中にたたずんでいます。橋は川の上に架かっている虹のようであり、遠くから見ると、緑の畑の中に浮き出ている「玉帯」(翡翠ベルト)のように見えます。これも橋の名前の由来の一つと言われています。非常に美しいことから、宝帯橋は「蘇州第一の橋」という美称があります。

 宝帯橋は歴史と共に浮き沈み、宋、元、明、清の四つの王朝での間に合計6回の再建や修繕が行われました。現存する橋は清王朝の同治十一年(1872年)に再建されたものです。長さは約317メートル、アーチの数は53個に上り、中国で最もアーチの数が多い橋となっています。

 橋のデザインは実用的でありながら耽美的です。すべてのアーチは通航可能であり、大型船も航行できるように中間部分には3つの大きなアーチが設けられています。53個のアーチは平らで幅広く設計され、橋を低く保てるのみならず製造工程をも減らすことができます。

特長的な橋脚
 宝帯橋の橋脚も非常に特徴的です。橋のアーチが連鎖的に倒壊することを防ぐため、「柔軟脚」と「剛性脚」を組み合わせています。この建築方法を取り入れることで橋の寿命を延ばせるほか、造形の美も得られるようになりました。

 宝帯橋の南北両端には大きな石獅子が1組あり、北端のほうは現在も来客を出迎えていますが、南端の石獅子は水の底に沈んでしまいました。
北端には「四出碑亭」と石塔があります。石塔の高さは4メートルで、青石が使用されています。塔の底は正方形であり、波と竜の模様を刻まれています。隣には石で造られた相輪があり、八つの面には仏像が設置されています。

 月が高く照らす夜には、一つひとつのアーチの下に月の影が映し出され、まるで一つながりの真珠が波に揺れているかのように見えます。そのため、宝帯橋は中秋の名月を楽しむ人気スポットにもなっています。

蘇州宝帯橋の動画:

(翻訳・清水小桐)