2020年1月下旬、武漢協和病院(イメージ:YouTubeスクリーンショット)

 1月14日に湖北省武漢市に到着した世界保健機関(WHO)の専門家チームは、14日間の隔離を経て、ウイルスの発生源について現地調査を開始した。1 月 30 日には、武漢で最初に患者を治療した病院である金銀潭病院をほぼ 1 日かけて訪問した後、疫病と闘う成果を讃えた公式の展示会の見学を「手配」された。中国共産党は調査チームを厳しく統制し、マスコミやコミュニティの民衆との接触や対話を禁じていた。

 ボイス・オブ・アメリカ、ドイチェ・ヴェレ、BBCの報道によると、WHOの専門家チームは1月30日午前、武漢で最初に患者を治療した病院である金銀潭病院を訪れ、発生時の状況を詳しく知るため、発生当初の最前線の医療スタッフと対話したという。

 専門家チームメンバーのマリオン・クープマンス氏は、金銀潭病院が伝染病を専門に扱っており、武漢では最初に武肺患者を治療した病院であり、この病院の医療スタッフの経験と彼女がヨーロッパの集中治療室の医師から聞いた話と似ているとツイートした。

 同記事はまた、専門家に話を聞いた人は全員中国側から指定されており、回答もほぼ同じだったという。専門家チームは金銀潭病院を離れる時、メディアに対して何も発表していない。ロイター通信によると、同行記者たちは共産党幹部によって専門家からある程度距離を置かれていたという。

 専門家チームは金銀潭病院を訪問後、中国共産党政府の疫病対策の成果をアピールする「人民至上、生命至上」をテーマにした特別展を見学するように手配された。

 今回の調査は国際的にも注目され、多くの国が取材のために中国駐在の記者を派遣しているが、武漢での専門家チームのスケジュールは公表されておらず、各国の記者は専門家チームの車両を追うことでしか、訪問地や移動の情報を得ることができない。すべての情報はWHO本部や中国外務省を通じてしか入手できない。

 ボイス・オブ・アメリカによると、WHOの専門家チームの中国訪問は、中国側の遅延が多く、困難なものとなっているという。中国政府は、世界の非難を避けるために、ウイルスの発生源が外国にあることを明示したり、暗示的に表明してきたが、その一方で、初期発生の主要な場所を厳重に封鎖し、中国の科学者によるウイルス研究を集中的に検閲し、国務院の関係機関の許可なしに出版を禁止してきた。

 AFP通信はまた、中国外務省の趙立堅報道官が金曜日の定例記者会見で、中国に派遣されたWHOの調査チームは「世界的な研究の一環であり、調査ではない」と強調し、WHOのマーガレット・ハリス報道官も、調査チームの接触対象や訪れた場所は中国側が手配したものだと述べたことを明らかにした。

 これに対して、米シンクタンクの「外交問題評議会」上級研究員の黄厳忠氏は、今回の調査がより広範な回顧の一環として捉えられれば、より良いスタートになるかもしれないが、2週間で調査を終了し、継続しない場合、このような形式的なやり方には意味がないという。彼はまた、北京がこの調査を政治的なものではなく、科学的な問題として扱うことを期待していると強調した。

 WHOの緊急事務担当者のマイク・ライアン氏も、現在の課題は情報を収集して、今後どのような研究が行われるかを判断し、新型コロナウイルス(中共ウイルス)の発生源を探すことであると述べた。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、専門家チームが隔離を終えて調査を開始する際、米国は「一部の中国情報源」が「偽情報」を広めていることを特に懸念しており、米国は「情報機関による収集・分析した情報を利用」して、同盟国と協力して外部からの報告の「信憑性」を評価すると述べた。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・藍彧)

==看中国(Vision Times Japan)の許可を得ることなく、記事や写真、イラスト、動画等のコンテンツを複製、配布、送信、転載することはできません。==