ジェニファー・ゼン(本名・曽錚)(YouTube動画のスクリーンショット)

 前回までは、中共が情報を隠蔽したことによって、全世界にパンデミックを引き起こしただけでなく、他の国を混乱させ、防疫上で誤った判断や決定をさせたことを話した。

 今日は引き続き2月に起きたことに注目しよう。

2020年2月10日:61%の人が自宅で亡くなる

 2月10日、武漢市民の方斌さんが、武漢の病院内の悲惨な状況を暴露した動画を撮影し、ネットに投稿したことを理由に逮捕された。

 また、中国語新聞「大紀元」が行なった独自調査の結果を掲載し、武漢の火葬場職員が、運ばれてくる遺体の61%が病院ではなく自宅で死亡したものであると認めたことを明らかにした。そのため、「大紀元」は中国の死者数は恐らく1万人を超えていると推測している。しかし、中共は実際の死者数の6%しか公表していなかった。「大紀元」はまた、中国社会科学院大学の非常勤教師・周佩儀氏(香港籍)がウィーチャット(WeChat)で「社会制度」により民衆が疫病で亡くなったなどの発言をしたため学校に解雇されたと報じた。

 同じ日、中国のメディア「経済観察」は中共ウイルス感染の疑いが持たれた武漢の70歳男性・梁氏がビルから飛び降りて自殺したと報じた。彼は飛び降りる前、妻に向かって「あなたに影響を与えたくない」と一言だけ残したという。また、この記事はすでに削除されていた。似たようなケースは以前にも報告されており、感染した人が入院できず、家族に感染させたくないために自宅で過ごすこともできず、止むを得ず自殺を選択するということがあった。

 同日、WHOによる専門家チームが北京に到着し、新型コロナウイルスの調査に協力した。

2020年2月11日:「もうすぐ転機が訪れる」

 2月11日、ウイルスがヒトからヒトに感染することを発表するために中共が指定した専門家・鐘南山氏がロイター通信の取材に応じた。鐘南山氏は、伝染病は2月中旬か下旬にピークを迎え、4月に収束すると話した。

2020年2月13日:更なるコントロール

 2月13日、武漢近郊の病院に勤める看護師が微博(ウェイボー、Weibo)に助けを求める投稿をしたことで、始末書を書かされた。彼女は自分が住む市の人民病院に勤務しており、投稿では病院の医療物資が非常に不足しており、マスクや防護服などは繰り返し使用していたと書いた。病院は、投稿が病院内部の実情を漏らしたとして彼女に3つの始末書を書かせた。内部情報が外に漏れるというのは、中共社会では許されないことで、中共は公開する情報を全てコントロールしている。

 同じ日、湖北省衛生健康委員会は前日に14,840人の新たな感染者が確認されたと発表した。その前の日の感染者数はわずか1,638人だった。委員会は急増の理由を集計基準が変わったことに帰結し、検査結果だけではなく診察結果をも含めた人数だとした。

2020年2月14日:一家全滅

 2月14日、湖北省電影製作所の常凱監督が新型コロナウイルスに感染し亡くなった。また、彼の姉や両親を含む4人が17日間に相次いで亡くなり、世間の注目を集めた。常凱氏の両親は共に武漢同済医院の教授だったが、父親を入院させることが出来ず、結果家族全員が感染してしまった。人々は、常凱氏や彼の両親のような上流社会の人でも治療を受けられないこと、そしてウイルスの高すぎる致命率に衝撃を受けた。

2020年2月15日:40台の移動式焼却炉

 2月15日、「ゴミと動物の死体」を焼却移動式焼却炉40台が武漢に送られてきた。1台の焼却炉は1日で5トンのゴミと動物死体を焼却することができ、燃焼温度は850度以上であるため2秒で処理することができる。1台につき毎日5tという焼却量は、およそ75体の人もしくは大型動物の死体に相当する。仮に1体の死体が中国の成人男性の平均体重である66kgだとすると、40台の焼却炉では1日に3030体の死体を焼却することが出来ることになる。尚、これにはもとから武漢にあった数十台の24時間稼働の焼却炉は含まれていない。しかし、当時中共政府が公表していた死者数はわずか100人だった。

移動式焼却炉(イメージ:Weibo)

 同日、習近平国家主席が、ウイルスに関するインターネット上での検閲をさらに厳しくすると発表した。また、中共のウイルスに関する隠蔽工作の謝罪と辞任を公に求めていた人権活動家の許志永氏が逮捕された。

 さらにこの日、中共の雑誌「求是(Qiushi)」は「大国のリーダーが背負う責任——総書記の感染症対策日記」と題して、習近平が感染爆発後に行った一連の行動を掲載した。この日記は習近平氏が全国の民衆を団結させ、人々の感染症との戦いをリードしたと称賛している。

2020年2月16日:消された論文

 2月16日、「新型コロナウイルスの流行は、中共の政治体制の腐敗を明らかにした」という内容の論文を発表した学者の許章潤氏が家に軟禁され、且つインターネットを遮断された。

 同じ日、国際的な学術データベース「ResearchGate」に掲載されていた中国人科学者2人の論文が削除された。2人の科学者はそれぞれ広州華南理工大学の肖波濤博士と武漢科技大学の肖雷博士で、論文にはウイルスが野生のコウモリではなく、武漢にある2つの研究所のコウモリから発生した可能性が示唆されていた。

2020年2月17日:陳全姣氏の声明

 2月17日、武漢ウイルス研究所が研究者・陳全姣氏の声明とされる文書を発表し、今まで陳氏の名で武漢ウイルス研究所の所長・王延軼氏がウイルス流出の責任を負うべきと投稿されていたのは本物の陳氏ではないと主張した。しかし、ラジオメディア「希望の声」の報道によると、あるライターが陳氏の親族からメッセージを受け取ったことを明らかにし、陳氏はすでに政府の管理下にあり、武漢ウイルス研究所の公式発表は偽物であり、声明は陳氏が投稿した内容に間違いないとしている。また、中共は噂を払拭するため陳氏をテレビに出演させようとしたが、陳氏が抵抗していると言う。

 これに対し人々は、もし陳氏が自分の名前が濫用され虚偽の情報を言いふらされたことに気付いたなら何故個人のアカウントで噂を否定しないのか、また何故「声明」が武漢ウイルス研究所の公式サイトに掲載されたのかと疑問を呈した。

 

武漢P4実験室(イメージ:Weibo)

2020年2月19日:ジャーナリストの追放

 2月19日、中共は「中国はアジアの病人」というコラムを掲載したとして3人のウォール・ストリート・ジャーナルの記者を追放した。

2020年2月21日:もっと多くの方艙医院(臨時医療施設)を建てる

 2月21日、武漢市中共当局は現在の13軒の方艙医院(臨時医療施設)に加え、25日までに新たに19軒を建設し、3万の病床数を確保すると発表した。

2020年2月23日:データの破棄

 中国語新聞「大紀元」が独自に入手した内部資料によると、2月23日、遼寧省衛生健康委員会は地元の委員会職員にコロナウイルスに関するすべてのデータを破棄するように指示したと言う。データにアクセスできる職員は例外なく「誓約書」へのサインを求められ、パソコン、携帯、メモリなどに保存しているデータ、写真などを破棄し、他の機関及び個人に漏らさないことを承諾させられた。「大紀元」が得たスクリーンショットには「削除済みリスト」の中に「中国疾病予防管理センターの情報システムから提供された新型コロナウイルス濃厚接触者情報」というファイルあった。

2020年2月24日:WHOと中国の合同調査

 2月24日、WHOと中国の専門家が1週間にわたる現地調査を終え、北京で記者会見を開いた。WHO事務局長補佐で共同調査の責任者を務めたブルース・エイルワード氏は「中国の対策は全世界に疫病に対する経験と改善を提供した。もし自分が新型コロナウイルスに感染したら中国で治療すること希望する。全世界は武漢の人々に借りができた」と述べた。

 また、エイルワード氏は翌日、ジュネーブでの記者会見で中国とWHOの共同調査について言及し「この合同調査は習近平主席がテドロス事務局長との会談の中で要請し、推し進められたものである。たしかに中国は疫病対応の中で膨大な仕事をこなしたため、その成果を審査すると共に、経験や教訓を学び、今後の世界及び中国の防疫対策に役立てたいと考え共同チームを立ち上げた」と話した。ただ、このチームが「中国国家主席の要請」の下で決定したものであり、中共が行なった「膨大な仕事」を美化するためのものであるなら、果たしてどれほど「独立性」を保てるのか疑問だ。

 また同じ日、ある女性が「まだ息がある状態で死体袋に入れられた人を何人も見た」と証言した動画がネット上で広まった。

2020年2月26日:また記者1人が行方不明

 2月26日、中共機関紙「新華社」は中共宣伝部が本を出版し、同時に6か国語に翻訳したと発表した。同書は、習近平主席が「大国の主席としての卓越した指導力」を発揮し、いかに中国を引率してウイルスに打ち勝ったのかを説明している。

 同日、元CCTV(中国中央電視台)司会者・李澤華氏が武漢市の独自報道を行おうとしたところ警察に連行された。約40日後の4月16日に李氏はYouTubeに動画を投稿し連行されてから2か所で隔離され、携帯電話とPCを没収され、友人に「預けられている」などの状況を語った。彼はまた、警察はとても親切で、すでに家族にも会ったと話した。しかし、この動画は「人質が原稿を読んでいるように見える」と、彼の言葉の真摯さを疑う声が上がっている。

2020年2月27日:責任転嫁

 2月27日、中国の首席専門家・鐘南山氏は広州での記者会見で「たしかに病気は最初に中国で発生したが、ウイルスが中国起源とは限らない」と述べ、中共がパンデミックの発生を他国のせいにしようとしていることが見て取れる。

2020年2月29日:不完全なタイムライン

 2月29日、中国政府メディア「チャイナデイリー」が新型コロナウイルス発生のタイムラインを発表したが、1月25日以前の動きには言及していなかった。

 ここまでの話から、2月に人々が驚異的な速さで命を落としている一方で、中共は情報の抑圧を続け、感染者数や死亡者数を大幅に過小報告していたことがわかる。その結果、多くの国が問題の深刻さを認識していなかった。多くの政府は、間もなくやってくる感染症の発生に備えて、何の対策もとれていなかった。

(つづく)

(文・曽錚/翻訳・「世界をみよう」チーム)